EVやPHEVの普及が進むなか、充電時間の短縮はユーザーだけでなく施設運営者にとっても大きな課題だ。日東工業は国内メーカー初となるJARI認証取得の9.6kW普通充電器「Pit-2G」を発売。国の補助金対象となる高出力モデルの実力と、今後のEVインフラに与える影響を詳しく紹介する。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
普通充電の常識が変わる? 日東工業の9.6kWモデルが登場
EVを所有しているユーザーなら、一度は「普通充電は時間がかかる」と感じたことがあるだろう。自宅では夜間充電が中心になるため問題は少ないが、外出先では滞在時間内にどれだけ充電できるかが利便性を左右する。
そうした課題に対し、EV・PHEV用普通充電器の国内トップメーカーである日東工業が新たな一手を打った。
同社はMODE3普通充電器「Pit-2G」シリーズに、9.6kW高出力タイプを追加。2026年6月には、この出力帯として国内メーカー初となるJARI(一般財団法人日本自動車研究所)認証を取得し、さらに経済産業省の充電設備導入補助金対象機種にも登録された。
これは単なる新製品ではなく、今後のEVインフラ整備を考えるうえで大きな意味を持つアップデートといえる。
最大の特徴は9.6kWという高出力だ。一般的な3kW普通充電と比較すると約3倍以上のスピードで充電でき、1時間あたり約67km分(車両電費7km/kWh換算)の走行距離を回復できるという。
これならショッピングモールやホテル、オフィスなどで1~2時間滞在するだけでも十分な充電量を確保しやすい。
急速充電器ほどの設備投資を必要とせず、利用者にも「滞在中にしっかり充電できる」というメリットを提供できる点は大きな魅力だ。
今回の9.6kWモデルは、経済産業省の「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」の対象機種となっている。
高性能な充電設備でありながら補助制度を活用できるため、ホテルや商業施設、マンション管理組合、法人事業者などにとって初期導入コストを抑えられる点もポイントだ。
将来のEV・商用車時代を見据えた仕様
現時点で9.6kW普通充電に対応しているのは、一部の欧州車やテスラ、ヒョンデなど海外メーカー車が中心となる。一方で、国内メーカーのEVもバッテリー容量の拡大が進めば、高出力普通充電への対応が期待される。
また、トラックやタクシーなど商用EVでは充電時間の短縮が稼働率に直結するため、高出力普通充電設備の需要は今後さらに高まる可能性がある。
なお、9.6kWに対応していない車両を接続した場合でも、車両側の受け入れ能力に応じた出力へ自動制御されるため、既存EVでも利用可能だ。
今回のモデルでは出力制御範囲を1.2~9.6kWまで拡大。施設全体の電力ピークを抑えるデマンド制御や、太陽光発電の余剰電力を利用した充電にも対応しやすくなっている。
さらに、既存の「Pit-2G」と部品を共通化したことで、国内開発・国内生産による安心感を維持しながら、高いコスト競争力も実現したという。
EV充電サービスとの連携機能も継承されており、今後の施設運営にも柔軟に対応できる構成となっている。


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