なぜ義務化しない!!? 急増中のパンク事故を防げ「タイヤ空気圧モニタリングシステム」が普及しない理由

直接式TPMS

 ホイールに空気圧を測るセンサー&発信機、車両側に受信機&モニターを装着するもの。

 メリットは、四輪の空気圧を測っているため各タイヤの空気圧が車内でわかること、高速域にも対応するなど精度が高いこと。

 デメリットは新たなハードウェアが必要になる点など、何かとコストがかかるということが挙げられる。

レクサスLSのTPMSは4輪のタイヤ空気圧が表示される。写真の場合、右前の空気圧が低下していることが一目瞭然だ

TPMSは日本でなぜ普及しない?

北米で人気のあるアコードは、北米仕様にはTPMSが標準装備されているのに日本仕様はレス仕様となっているのが不思議すぎる

 現在日本車でTPMSが設定されるのはレクサスに代表される約400万円以上の高額車か、NSX、前述したランフラットタイヤを履くGT-Rといった超高性能車に限られる。

 TPMSを新車装着するなら正確な直接式にしたいのは当然で、そこにはコストの問題も大きく関係するのもわかる。

 しかしトヨタランドクルーザーにオプション設定されるTPMSは、数値も分かる直接式かつバックドアに置かれるスペアタイヤも含む5本ぶんで2万2000円と、意外に安いようにも感じる。

ランドクルーザー&ランドクルーザープラドには、TPMSは標準ではなくオプション設定されている。2万2000円は安全を考えるとお値打ち価格

 またオプション設定でこの価格なら、義務化により大量生産されれば劇的なコストダウンが進み、比較的短期間で当たり前のものになる気もする。

 それでもTPMSの義務化が進まない理由として、筆者は日本では冬場スタッドレスタイヤを履くのがごく普通になっていることが大きいのではないかと思っている。

 というのもスタッドレスタイヤを履く際には1セットのホイールでタイヤだけ組み替えるということは少なく、スタッドレスタイヤ用に割り切ったものなどホイールをもう1セット用意してホイールごとスタッドレスタイヤに履き替えることがほとんどだろう。

 その際に純正のホイールを用意することは少なく、社外ホイールを使った際の対応や純正のホイールだったとしてもTPMSを移植するなり、TPMSをさらに1セット分用意するというのはさすがに負担が大きい。

TPMSが日本で装着が法制化(義務付け)されないのは、冬場にスタッドレスタイヤに交換するクルマが多いこととも関係がありそうだ

 スタッドレスタイヤは生活必需品のひとつでもあるだけに、このあたりが関係して義務化に踏み切れないのかもしれない。

 なお以前TPMSの義務化の可能性について国土交通省自動車局技術政策課に問い合わせてみた際には、「義務化の時期の見通しなどはなく、現在事故実態の検証や有識者の意見を集めながら検討中」という答えだった。

後付けのTPMSはどうなのか?

 TPMSにはアマゾンなどの通販でも買える後付けのものも多数流通しており、直接式であればタイヤトラブルの防止だけでなく、空気圧を常時モニタリングできることでサーキット走行などのスポーツ走行時の情報としても非常に役立つ。

 後付けのTPMSは多数流通しているだけに、特に安いものは玉石混交というのが否めない。

 大まかなに言えば、「価格が5000円以上のもので、商品レビューなどの評判のいいものなら問題があることは少ない」という傾向はあるようだ。

次ページは : まとめ

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