2020年6月16日、ついにレクサス ISのニューモデルが世界初公開。日本での発売は、2020年秋頃を予定していることも合わせて発表されている。
レクサスのなかで最も小型なセダンとなるISの現行モデルは2013年に発売。登場7年目にして、2016年以来となるマイナーチェンジとなる。
これまで初代アルテッツァ時代から、レクサスISは販売面での成功はなかなか収められていない。外観も変更するなど、かなり大がかりなマイナーチェンジモデルは、大きな期待に応えるモデルとなり得るのか? 松田秀士氏が解説する。
文:松田秀士、写真:レクサス、メルセデスベンツ
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新型ISはデビュー7年目にして2度目の大改良
レクサスISがマイナーチェンジする。先代となる3代目のデビューが2013年。7年も経過してきたのだからフルモデルチェンジするのでは?との予測は外れた。
しかし、今回のマイナーチェンジはフルモデルチェンジに匹敵するビッグマイナーチェンジになるらしい。
かつてメルセデスCクラスが2000カ所にも及ぶビッグマイナーチェンジを受け、日本カーオブザイヤーのインポートカーオブザイヤーに輝いたことがある。
日本カーオブザイヤーの規定では、ノミネートされるモデルは新型車(つまりフルモデルチェンジ)でなくてはならない。
確かに年次改良といって欧州車並みに毎年マイナーチェンジを行う国産車も多く、マイナーチェンジ車をノミネートしていたのではきりがない。
しかし、2000カ所にも及ぶ改良(マイナーチェンジ)はフルモデルチェンジに匹敵するとの申し出がメーカーサイドからあり、他の新型車と肩を並べて選考され見事インポートカーオブザイヤーの座をかっさらったという前代未聞の歴史がある。
つまりボクが注目するのは、今回のISマイナーチェンジではいったいどれほどの改良が施されているかだ。
フルチェンジとマイチェンの違いは?
ところで、マイナーチェンジとフルモデルチェンジの基準にはいったいどのような変更差があるのだろうか?
具体的にはプラットフォームが一新されたかどうかだ、と筆者は考えている。つまり、今回のISではプラットフォームは先代モデルから継承されるので、これはマイナーチェンジですねということになるわけ。
ではプラットフォームが継承されると、何ができて何ができないのか? ここが重要である。プラットフォームが同じだとエンジンの搭載方法が同じだ。つまりISはFR(フロントエンジン・リアドライブ)で縦置き。
ああ、FF(フロントエンジン・フロントドライブ=前輪駆動)にならなくて良かった!と胸を撫でおろすボクである。
さらにここが最も重要、サスペンションの取り付け位置が同じになる。取り付け位置が同じということは前後のサスペンション型式が同じといっても過言ではない。
たまにそうでもない場合もあるが、それでは中途半端な性能しか出せずISでそれを行うとは考えにくいのだ。
サスペンションの取り付け位置が同じでサスペンション型式も変わらないとすれば、トレッドやホイールベースの変更により多少のズレはあるとしてもロール軸にも大きな変更はないと思われる。
ロール軸とはフロントサスのロールセンターとリヤサスのロールセンターを一直線に結んだ前後軸のこと。このロール軸と車体の重心の関係がテコの原理によってそれぞれのタイヤに荷重移動するわけだ。
さらに詳しくいうと、ロール軸と重心の距離が長いほどモーメントは大きくなりサスペンション剛性は落ちる。スプリングを柔らかくしたのと同じ。距離を短くすればその逆になる。
ただ、サスペンションは動くのでこの距離もサスペンション型式やジオメトリーによって変動するのだ。つまりロール(サスペンションストローク)に伴いモーメントが変動する。
ここまで書くとどういうクルマになっているか? だいたいわかりますね。挙動を含めたハンドリングに大きな変化はない!というのが物理の法則に基づいた判断。
が、かといって何も変わらないはずはなく、そこをどのようなギミック(ダンパーやブッシュやバネレートやスタビやタイヤ)で変えてくるか?に興味はつのる。
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