■日産・スカイラインのいま
2016年に国内で販売されたスカイラインは4204台。1973年には「ケンメリ」の愛称で親しまれた4代目(C110型)が15万7598台を売ったから、今日の売れ行きは当時の3%弱になる。
ちなみに1年間で約16万台という数字は、2016年のノートを上まわってアクアよりも少し多い。当時のスカイラインは物凄い人気車だった。
今のスカイラインも悪いクルマではない。動力性能と走行安定性が優れ、乗り心地は少し硬いが粗さは抑えた。後席にも相応の居住性が備わっている。高速道路を使った長距離ドライブを安全かつ快適に楽しめる。
ただしボディは日本の峠道で運転を楽しむには大きくて重い。ボリュームを強調した外観は北米などの海外向けで、日本のクルマ好きに合った引き締まり感が薄れた。
さらにエンブレムは日本で開業していないインフィニティだ。これでは「海外向けの商品で、日本はオマケで売っています」と宣言したようなものだろう。
日本のクルマ好き、長年にわたるスカイラインのファンに対して失礼きわまりない。日本でマトモに売りたいなら「NISSAN」のエンブレムに戻すべきだ。
■トヨタ・カローラアクシオのいま
初代カローラは1966年に発売され、2001年までの33年間はベストセラーであり続けた。クーペのカローラレビン、短期間ではあったが4ドアハードトップのカローラセレス、コンパクトミニバンのカローラスパシオなどのワイドな選択肢も高人気の秘訣だった。
それが2001年に初代フィットが発売され、翌年に爆発的に売れて、カローラは販売1位の座を奪われた。
この時がカローラの、というよりも国内販売のターニングポイントで、軽自動車/コンパクトカー/ミニバンという売れ方に偏っていく。国内で販売されるセダンの大半は、海外モデルの流用となった。
この変遷の中で、カローラアクシオはコンパクトセダンの役割を見失わない。現行型も当然に5ナンバーサイズで、水平基調の外観は視界が良い。混雑した街中でも運転がしやすく、縦列駐車なども容易に行える。
エアコンなどのスイッチを高い位置に装着したインパネは操作性が良く、後席にも相応の居住性が備わり、大人4名の乗車も可能だ。
歩行者に対応していない緊急自動ブレーキ、改良を受けた今でも粗さを感じる乗り心地、マイナーチェンジでボディサイドとのバランスを欠いたフロントマスクなど、改善すべき点もあるが、クラウンと同じく日本の市場を見据えたセダンであることに変わりはない。
カローラ店の顧客サービスも入念で、主力車種として古くからの需要を守り続けている。そのためにセダンではトップクラスの売れ行きを誇る。
■スバル・レガシイ(B4)のいま
レガシィは初代モデルからツーリングワゴンが人気を高めていたが、走りにこだわるユーザーの間ではセダン(1998年登場の3代目でB4に改称)の人気が高かった。
ところが2003年に発売された4代目では、ツーリングワゴンと併せて3ナンバーサイズに拡大され、現行型の6代目は全幅が1800mmを超えて海外向けのLサイズセダンになった。つまりレガシィB4は日本のユーザーから離れてしまった。
それでもインプレッサG4がボディを拡大、WRXは独立したスポーツセダンに発展して、かつてのレガシィB4の需要はこの2車種が引き継いでいる。
レガシィツーリングワゴンの後継車種としてレヴォーグを投入したことも含めて、乗り替えるユーザーに対して道筋を用意した。このあたりがほかのメーカーと違うスバルらしさだ。
現行レガシィB4は、後席が広く乗り心地も快適に仕上げた。4WDとの相乗効果で、Lサイズセダンでは走行安定性も高い。アイサイトはバージョン3が備わる。価格は機能や装備の割に安い。
ボディが拡大して往年のスポーティ感覚はすべて失われ、売れ行きも激減したが、長距離を安全かつ快適に移動したいユーザーのニーズには合っている。
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