■ホンダ・アコード(ハイブリッド)のいま
アコードは紆余曲折を辿った。1976年に発売された初代モデルから4代目まで、国内生産のセダンは5ナンバーサイズを守ったが、1993年に発売された5代目は、海外仕様と共通化されて3ナンバー車に拡大された。先に述べた「メーカーの都合」を優先させた結果だ。
案の定、売れ行きは激減して6代目は5ナンバーサイズに戻したが、もはや販売は回復せず、7代目で再び3ナンバー車になった。
この7代目と8代目は海外では上級ブランドのアキュラTSXとして売られ、後席の居住性は狭いが質感を高めたスポーティなモデルだった。
それが2013年に発売された9代目の現行型は、北米アコードと共通化されて後席の広い実用セダンになった。国内仕様は2Lエンジンをベースにしたハイブリッドのみで、ノーマルエンジンは用意されない。
アコードのハイブリッドシステムでは、エンジンは主に発電機の作動に使われ、ホイールはモーターが駆動する。
ノートe-POWERに準じたメカニズムを備える。ハイブリッドLXのJC08モード燃費は31.6km/Lと抜群に良い。後席も広く「低燃費と居住性」はセダンの最高峰だ。
その代わり運転するとエンジン回転と車速の増減にズレを感じることがあり、タイヤが転がり抵抗を抑えたこともあって走行安定性もあまり良くない。
走行状態によっては後輪の接地性が頼りなく感じる。セダンの特徴とされる走行性能がいま一歩で、もはや「走りのアコード」の面影はないが、前述の低燃費と居住性を重視するなら選ぶ価値はある。
むしろ問題なのは、フルモデルチェンジの度にアコードの性格がコロコロと変わることだ。継続性が乏しく「アコード」という車種のブランドイメージも育たない。
直近のシビック導入にも当てはまる話だが、国内におけるアコードの変遷を振り返ると、きわめて場当たり的な印象を受ける。そこにホンダの国内販売の危うさが潜む。
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