カローラ、プリウス…盤石の強さの源 不安を跳ねのけて成功した現行トヨタ車たち

タンク&ルーミー

デビュー:2016年

ハイトワゴンの人気が高いなか、圧倒的な強さを見せているのがタンク/ルーミー。質感の面で安っぽさは否めないが、使い勝手のよさ、安さが魅力
ハイトワゴンの人気が高いなか、圧倒的な強さを見せているのがタンク/ルーミー。質感の面で安っぽさは否めないが、使い勝手のよさ、安さが魅力

 タンク&ルーミーはスライドドアとなるプチバンとしてよく売れているスズキソリオをターゲットに、2016年に登場した。

 タンク&ルーミーはダイハツ主導で開発されたモデルのため、コンパクトカーの中でも小さい部類となるパッソ&ブーンがベースだ。

 タンク&ルーミーは使い勝手こそ良好だが、パッソ&ブーンの古さもあり、乗り心地などの動的質感や自動ブレーキの性能といった質や味は全体的に低く、簡単に言えば安っぽい。

クルマに速さや楽しさを求めない人にとっては、ユーザーフレンドリーに設計されたタンク/ルーミーは非常に魅力的に映るハズ
クルマに速さや楽しさを求めない人にとっては、ユーザーフレンドリーに設計されたタンク/ルーミーは非常に魅力的に映るハズ

 安っぽさという致命的な欠点があるタンク&ルーミーだが、「需要の多いプチバン+トヨタ全ディーラー扱いの最強の販売力」という要素が組み合わされたこともあり、昨年は2台を合計すると約16万6000台を販売。欠点を見事に販売力で押し切っている。

 だが、現行のタンク&ルーミーはつなぎ的なモデルであってほしく、次期モデルではダイハツで新世代となるDNGAプラットホームを進化させるなどしながら成長してほしい。

ハイラックス

デビュー:2017年

タイから輸入する形で日本に導入されているハイラックス。ダブルキャブ+ピックアップという非日常性はほかの日本車では味わえない魅力がある
タイから輸入する形で日本に導入されているハイラックス。ダブルキャブ+ピックアップという非日常性はほかの日本車では味わえない魅力がある

 ピックアップトラックの現行ハイラックスは日本では13年の空白期間を経て、2017年に復活という形で登場した。

 現行ハイラックスは当時9000台程度あったという既存ユーザーの乗り換え需要も想定し、タイ国生産車を日本に導入。

 しかし、さすがのトヨタも日本では絶滅状態となっていたピックアップトラックに対しては不安だったようで、当初の販売目標台数は年間2000台と、トヨタとしては試験的な導入だった。

 だがフタを開けてみると、2018年/6740台、2019年/6440台と当初の計画の3倍以上を販売し、短くない納期となるほどの人気を集めている。

 ハイラックスが懸念を払拭した理由は、「日本人は魅力あるクルマを適価で販売すれば、マニアックなジャンルでもちゃんと見てくれる」ということが大きい。

日本で販売されるハイラックスは2020年夏にマイナーチェンジされ、写真のようなフロントマスクに変更される。マイチェン前より迫力のある顔となる
日本で販売されるハイラックスは2020年夏にマイナーチェンジされ、写真のようなフロントマスクに変更される。マイチェン前より迫力のある顔となる

 さらにハイラックスは日本人にとってピックアップトラックというジャンルが新鮮だったこともありカッコよく、400万円級という安くない価格ながら、見方によっては値段以上に高いクルマに見える点も見逃せない。

 またハイエースのように輸入品も含めればアフターパーツが豊富なこともあり、自分色のクルマが作りやすいのもハイラックス人気を後押ししたように思う。

まとめ

「石橋を叩いても渡らない」など、トヨタは保守的なイメージの強いメーカーだが、実際には昔からそんなことはなく、最近は他社にあまり元気が感じられないこともあり、日本で最もアグレッシブなメーカーである。

 言うのは簡単だが、「リスクなくして成功や成長はなし」とよく言われるのも事実であり、トヨタという大自動車メーカーからはチャレンジする大切さという面でも学ぶところは大きい。

 このままでは他メーカーとの差が開くいっぽうだ。失敗を恐れ、委縮したように感じられるライバルメーカーの奮起に期待したい。

ここ数年トヨタのチャレンジングな戦略が目立っている。2020年8月にはヤリスクロスが日本で販売開始となる。他メーカーの奮起に期待したいところ
ここ数年トヨタのチャレンジングな戦略が目立っている。2020年8月にはヤリスクロスが日本で販売開始となる。他メーカーの奮起に期待したいところ

【画像ギャラリー】現行モデルで大化けしたミドルクラスサルーンのカムリ セリカカムリとしてデビュー以来10代続くその歴史を振り返る!!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

トヨタの韋駄天が覚醒する! 6代目NEWスターレットのSCOOP情報をはじめ、BC的らしく高級車を大解剖。さらに日産・ホンダの協業分析、そして日向坂46の富田鈴花さんがベストカーに登場! 新社会人もベテランビジネスマンまで、誰もが楽しめるベストカー5月10日号、好評発売中!