帝王トヨタの牙城を崩すのは諦めたのか!? 日産とホンダが打つべき次の一手

5ナンバーサイズのクルマに入り込む余地なし!?

 また、上位人気車種として、ダイハツとトヨタが共同開発したコンパクトSUV(スポーツ多目的車)のロッキー/ライズの好調も目立つ。トヨタライズが常に1~2位あたりで推移しているのが実態だが、販売力の差もあるだろうから、ロッキー/ライズの商品性が広く消費者の心をとらえているに違いない。

欧州で販売されているマイクラ。欧州などではマーチをマイクラとして販売してきたが、このモデルでマイクラはマーチと切り離された
欧州で販売されているマイクラ。欧州などではマーチをマイクラとして販売してきたが、このモデルでマイクラはマーチと切り離された

 こうした状況に対し、日産は海外でマイクラとして販売してきたマーチを、すでに欧州向けではモデルチェンジしている。ただし新型マイクラは車幅が1.7mを超えており、国内では3ナンバー車となる。

 日産は、中期経営計画のなかで車種の削減を決めており、資源を集中すべき車種を、C/Dセグメントと、EVとスポーツという分野に絞るとしている。ここに5ナンバー車の話はない。

日産は100%EVのクロスオーバーSUVのアリアのプロトタイプを2020年7月に公開し、2021年から日本で発売を開始すると発表
日産は100%EVのクロスオーバーSUVのアリアのプロトタイプを2020年7月に公開し、2021年から日本で発売を開始すると発表

軽専門のNMKVの業務拡張の可能性

 そこで一案となるのが、軽自動車で実績を上げている三菱自との提携のさらなる強化だ。

 両社によって出資されたNMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)社は軽自動車専門の合弁会社だが、そこから生まれた最新のルークスは、軽スーパーハイトワゴン最良の一台といえる。

スーパーハイトワゴン軽自動車として最後発となるルークスは質感、操安性、安全性能などクラストップのポテンシャルを持っている
スーパーハイトワゴン軽自動車として最後発となるルークスは質感、操安性、安全性能などクラストップのポテンシャルを持っている

 そしてダイハツは、DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を活用し、軽の技術をコンパクトカーに活かすとしてロッキー/ライズを開発し、上記の販売成績を残している。

 そこからすれば、NMKVの事業分野を少し拡大し、コンパクトSUVとマーチに続く車種の開発ができないだろうか。それは、三菱自のミラージュにも活かせるだろう。

コンパクトカーの電動化が日産浮上のカギ

 その際に、日産でカギを握るのがe-POWERだ。e-POWERへの注目の高さは、すでにノートやセレナで実証済みだ。

 2020年6月に発売されたキックスは、わずか3週間で9000台の注文を得て、年内の納車が間に合うかどうかというほどである。

ジュークの後継として2020年6月にデビューしたキックスはe-POWERのみの設定。ノートと比べると大幅に進化している
ジュークの後継として2020年6月にデビューしたキックスはe-POWERのみの設定。ノートと比べると大幅に進化している

 トヨタにないのが、電気自動車(EV)を基にしたモーター駆動のハイブリッド車(HV)であり、それによってアクセルのワンペダル操作であるe-POWERドライブが日産の特徴である。

 またモーター駆動と相性のよいプロパイロットの制御の洗練さにもつながっている。

 ルークスに搭載されたマイルドハイブリッドのターボエンジンはコンパクトSUVにも通じるようなゆとりを持つ。

キックスで第2ステージに突入したe-POWERを搭載する次期ノート。シエンタ、フリードに対抗する3列シートモデルの派生車にも期待がかかる
キックスで第2ステージに突入したe-POWERを搭載する次期ノート。シエンタ、フリードに対抗する3列シートモデルの派生車にも期待がかかる

 あるいは、軽自動車用の3気筒エンジンを活用したe-POWERもできるのではないか。ノートで使うe-POWERを次期マーチやコンパクトSUVに活用する方法もあるだろう。

 軽自動車において、マイルドハイブリッドを搭載するのはスズキと日産、三菱自のみであり、ダイハツやトヨタの軽自動車には品揃えがない。

 電動化を踏まえたコンパクトカーを充実すると、日産はさらに注目されるようになるのではないか。

東京モーターショー2019で世界初公開した軽EV。三菱が水島工場内のEV用生産設備への投資を発表しているように力が入っている。日産にとって重要なモデルとなる
東京モーターショー2019で世界初公開した軽EV。三菱が水島工場内のEV用生産設備への投資を発表しているように力が入っている。日産にとって重要なモデルとなる

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