トヨタのトラックも生産
が、この高い技術力と安定した品質を、他の自動車メーカーが見逃すはずがない。
1970年代になると三菱以外の自動車メーカーからも製造依頼が舞い込んでくる。そのひとつがトヨタの大型・中型トラックのキャブオーバー部分の生産だ。
三菱自動車工業が発足した1970年の5月、D型ディーゼルエンジンを積むトヨタの大型トラック、DA型のキャブオーバー部分の製造を頼まれ、一貫生産に着手した。
名古屋工場を閉鎖し、岐阜県加茂郡坂祝町に移転するのは1976年9月だ。岐阜県の坂祝町に全面移転し、これを機に「株式会社東洋工機」を名乗っている。
フォルテの生産開始が大きな転機
転機が訪れるのは1978年5月で、三菱から依頼され、1トン積みのピックアップトラック、「フォルテ」の生産を開始した。
三菱ジープはウイリス社との契約で販売は日本国内だけに制約されている。フォルテはジープの製造で培ってきた高い技術力をベースに開発を行ったヘビーデューティトラックだ。
世界をターゲットに開発され、まずは2WDモデルを市場に送り出した。スタイリッシュなライトトラックで、エンジンは1.6Lの4G32型直列4気筒SOHC、フロントサスペンションはダブルウイッシュボーンにトーションバーの独立懸架としている。
これに続く第2弾として、1980年10月に本命のパートタイム4WD仕様を投入した。
フォルテ4WDはジープと同じハイ/ロー切り替えの副変速機を備える本格派の4WDトラックである。しかも独自設計のサイレントチェーンを内蔵し、パワーの伝達ロスを抑えるとともにギアノイズを大幅に低減した。
また、プロペラシャフトやリアデフの取り付け位置、エンジンの搭載位置や重量配分にも徹底してこだわって設計している。だからオフロードで卓越した走破性を見せるだけでなく舗装路での高速走行も余裕でこなす。
フォルテは海外ではL200やマイティマックスを名乗り、クライスラーブランドでも販売を行った。海外向けモデルには2LのG52B型ガソリンエンジンや2.3Lの4D55型ディーゼルターボも用意されている。
海外では日本以上に好調な販売を記録した。提携しているクライスラーの本拠地の北米はもちろん、中南米からアジアまで、幅広く販売を行っている。
初代パジェロの生産で盛り上がり、シティカブリオレも生産
このフォルテ4WDのメカニズムを用いて開発され、1982年4月に登場したのがパジェロだ。2月から生産を開始し、デビュー時のラインナップは2ドアのキャンバストップとメタルトップである。
パワートレーンは、2Lの直列4気筒ガソリンと2.3Lのディーゼルターボを設定した。1983年にはワゴンと4ドアのロングボディのエステートワゴンを加え、パワフルなガソリンターボも投入したから大ブレイク。坂祝町(さかほぎちょう)の工場は生産に追われることになる。
また、1984年にはホンダからの要請で、シティをオープン化したカブリオレの生産業務にも携わった。
これは3ドアハッチバックのシティを、イタリアの名門カロッツェリアであるピニンファリーナがオープンにデザイン変更したものだ。
少量生産だったし、耐候性に優れた幌を被せるから、高い生産技術を持ち、ジープやパジェロで幌ボディの経験が豊富な東洋工機に白羽の矢が立ったのである。
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