■なぜ2WDのほうが売れているSUVが多いのか?
●「悪路に強いから」という理由でSUVを買っているユーザーは意外に少ない
上記のようなユーザーがSUVを選ぶ具体的な理由としては前述したものもあるが、
・SUVの「スタイルや高い着座位置に代表される全体的な雰囲気が好き」
・「SUVはセダンやハッチバックよりリアシートやラゲッジスペースが広いことが多い」など実用性の高さ
といったことが浮かぶ。つまりそういったユーザーにとってSUVはセダンやハッチバックのスタイルが変わったものともいえ、そういう選び方であれば4WDの必要性は薄い。
●2WDでも技術の進歩で、雪道に相当対応できるようになってきた
ミドルクラスまでのSUVの2WDは、ほぼすべてが前からクルマを引っ張るFF(=前輪駆動)ということもあり、もともと雪道に弱くはない。
さらに近年はスタッドレスタイヤや横滑り防止装置の義務化といったクルマ周辺の雪道対応が著しく進歩していることもあり、「最低地上高が高いSUVなら2WDで問題ない」という考えも十分成り立つ。
●4WDのデメリットも否めない
乗り心地に代表されるクルマ自体の仕上がりは、車種によって異なるケースもある。ただ、昔に比べれば改善されているにせよ、4WD化に伴う重量増による動力性能や燃費の悪化は否めない。
また2WDと4WDの価格差も、コンパクトクラスとミドルクラスのSUVでは20万円から25万円が相場だ。
そのため、中心価格帯が200万から250万円のコンパクトクラスと中心価格帯が300万円台となるミドルクラスでは差額に対する感じ方が変わってくることもあり、特にコンパクトクラスでは2WDが人気となることもよくわかる。
ただ、コンパクトクロスオーバーのスズキ「クロスビー」は2WDと4WDの価格差が約15万5000円と小さく、少々古いデータながら4WD比率は40%と200万円以下のコンパクトクラスとしては高いのも理解できる。
■SUVの2WD人気に関してディーラーはどう考えている?
この点に関し、それぞれの首都圏のライズ、RAV4、ハリアーを販売するトヨタディーラー、ヴェゼルを販売するホンダディーラーに話を聞くと、筆者の分析と概ね共通の認識だった。
現時点ではFFしかない日産「キックス」に関しては、首都圏の日産ディーラーは「4WDがないことにそれほど大きな問題は感じてません」という意見だった。
しかし、豪雪地帯の日本海側の日産ディーラーは「こちらでは4WDがないのを大きな理由に選んでもらえないことも少なくなく、早急に4WDを追加して欲しいです」との弁だった。
日本車のSUVであれば2WD中心なのは構わないが、何らかの4WDは必要というのをキックスが象徴しているようにも感じた。
■まとめ
SUVといっても、必要性が薄いユーザーであれば価格や燃費などを主な理由に2WDを選ぶのは基本的に賢い選択だ。
しかし、雪道などを走る際には当然ながら4WDのメリットは絶大だ。そのため「冬場に雪道を走ることがそれなりにある」など迷っているなら、処分する際の査定で差額を相当回収できることもあり、きちんとしたスタッドレスタイヤを履くことを前提にSUVを買う際には4WDを選ぶのを薦めたい。
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