クルマは日々進化する。フルモデルチェンジで旧型から大きく進化するのは当たり前だ。
現在日本車のフルモデルチェンジサイクルは長くなっていて、それに合わせて年次改良、一部改良、マイナーチェンジなどで手を入れることで、モデルチェンジサイクル内でもクルマは進化している。これはどのクルマについても言える。
本企画では、デビューした時とガラリと別物になった現行日本車について見ていく。
文:松田秀士/写真:MITSUBISHI、MAZDA、HONDA、NISSAN、池之平昌信
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三菱デリカD:5(2007年デビュー)
2007年、デリカスペースギアの後継車として発売されたデリカD:5。デビュー当時はまるでNASAが開発した月面走行中のようなデザインのインパクトが新鮮だった。
特に、Aピラーからそのままフェンダー上に伸びたプレスラインが、塊感を出しているのが新鮮だった。
ボンネットを開けるとAピラーがサスペンションタワーを支えるかのようにエンジンルームに伸びている。
長いキャビンを覆うような、リブボーンと呼ばれるフレームを前後&上部ピラーで繋ぎ、しっかりと剛性を確保するボディーマネージメント。それをきちんとエクステリアデザインで表現しているところが素晴らしかった。
最新の現行は基本コンポーネンツは踏襲しているものの、デザインが大きく進化。しかし、実際に試乗してみると中味の進化は顕著だ。
ボンネットを開けてエンジンを覗き込んだ時に、エンジンがとても低くマウントされていることに気づく。これはマイチェン前から変わらないが、エンジンはクリーンディーゼルのみのラインナップなった。
そのエンジンマウントはBMW X5並み。BMWは、走りを追求する(特にオンロード)がゆえに低重心に取り組んでいて、同じことがデリカD:5にも言えるのだ。
高速道路を流している時の、まったりとした落ち着き感と直進安定性。これはやはり、この低重心が効いているからだろう。
さらに、室内の静粛性。こっちは、ボディの剛性がしっかり確保されていることが大きい。NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュ)でいう、バイブレーションがとても小さく快適な室内空間を維持している。
10.1型の大型ナビゲーションディスプレーをセンタートップに採用して目線の移動を少なくしながら4分割画面表示と操作性も高い。スマートフォンボックスを設けるなど、軽自動車を作っているメーカーだから気付く使い勝手の進化もある。
エンジンはクリーンディーゼルで4気筒ターボ。145ps/3500rpmと目立った数字ではないけれども最大トルクは380Nm/2000rpmと低回転域からかなり強力だ。これにスポーツモードを備えた8速ATがドッキングされている。
マイチェン前とエンジン型式は同じだが、エンジン自体は別物だ。
サスペンションはフロント:ストラット式にリアはWウィッシュボーンの進化したマルチリンク式だ。
そのハンドリングはオンロード/オフロードを問わずしっかりした操舵フィールがあり、サスペンションもホイールストロークが大きくとられていて、ラリーで鍛えた三菱車という印象だ。
室内での静粛性を含めたクォリティが大きくアップしたことも見逃せない。
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