日産GT-R(2007年デビュー)
最後は日産GT-R。
このクルマを開発したのは水野和敏氏。1980年代後半から、かつて日産のグループCプロジェクトをけん引してきた人物だ。
同時代にグループC、F3000、SWCを走ってきた筆者としてはレーシングエンジニアの印象が強いが、自動車メーカーのエンジニアゆえもちろん一般車両の開発も専門職。
しかし、GT-Rに初めて試乗して感じたのは、「コレはレーシングカー」という印象だった。
2007年、蒲郡にある全天候型のミニサーキット。ものすごい加速とオンロード型4WDのトラクション。限界を超えた時の挙動を何度も試していると、水野氏がスタッフにデータを保存しろという指令を出した。
なんでもGT-Rでこんな荒っぽい運転をするドライバーは初めてだったらしく、解析したかったのだそうだ。
その後、年改を重ねるごとに試乗会が菅生などのサーキットで開催され、ほとんどの試乗会に参加した。
GT-Rはハンドリング性能がどんどん進化していた。ただボクにとってGT-Rはやはりレーシングカーだった。一般道を走れる素晴らしいレーシングカーだ。
それが変化したのは水野氏が日産を去り、GT-R開発のトップが田村宏志氏になってから。
レーシングカーらしいガサツなノイズは水野氏の時代にも封じられつつあったが、それよりも走りが主眼。
しかし、田村氏になってからはノイズ、乗り心地、質感というスーパースポーツカーとしての価値観が大きく進化した。長距離を走っても疲れないし、デートカーとしてもゴキゲンなゴージャス感。
元ニスモ社員だった友人が565(ゴルゴ)なる専門中古ショップを営んでいるが、中古車が高値で取引されるプレミアムモデルだ。
開発主査が変わったことでここまで変化を遂げたモデルも他にはない。
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