スバルの販売方法ではユーザーを長期間待たせてしまう
しかしユーザーを長期間にわたって待たせるのは別の問題だ。
レヴォーグは前述のとおり、2020年5月に従来型の受注を終えて、8月20日に先行予約を開始した。納車の開始は11月26日以降だから、先行予約で注文したユーザーは、3カ月は待たされてしまう。
しかも販売店によると、「試乗車の配車は、発売日の11月下旬以降でしょう」というから、8月20日の先行予約開始から11月下旬までの約3カ月は、実車を見られない状態で商談している。
新型レヴォーグのセールスポイントは、「飛躍的に高められた走りの質感」だ。試乗できず、セールスポイントを実感できない状態で商談したり契約するのは、矛盾が伴ってスバルらしい売り方ではない。
ちなみにマツダも以前は、発売の約3カ月前に、実車のない状態で予約受注を開始していた。しかしMX-30は、予約受注の開始が2020年9月下旬で、10月8日には発売している。
予約受注の前倒しをやめた理由をマツダの商品企画担当者に尋ねると、「お客様と販売店のためにならないと判断してスケジュールを改めました」と返答した。スバルも試乗した上で、納得して商談できるようにすべきだ。
旧型を売り続けることの矛盾と弊害
レガシィも問題を抱える。北米では2019年7月に新型の生産を開始しながら、日本では今でも旧型を売っていることだ。新型レガシィはフルモデルチェンジだから、衝撃吸収力まで含めて、安全性が大幅に向上する。
販売店のコメントどおり、次期レガシィアウトバックの国内発売が2021年9月以降であれば、日本では約2年間も、北米に比べて安全性の劣った旧型を売り続けることになってしまう。
ホンダではアコードが、2017年7月に北米で新型を発表しながら、日本におけるフルモデルチェンジは2020年2月だった。2年半にわたり、日本では旧型を売っていた。
レガシィがほぼ5年周期でフルモデルチェンジすることを考えると、世界同時発売は無理としても、発売の時間差を1年以内に抑えたい。
日本のメーカーが日本国内の発売を海外に比べて2年間も遅らせると、さすがに言い訳が通用しなくなる。
今のクルマは、フルモデルチェンジの度に安全性を急速に向上させている。設計の古いクルマを売り続けることは、安全重視の商品開発にも逆行する。
もっと日本のユーザーを大切に考えて商品を開発すれば、売れ行きも自然に伸びる。
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