スバル販売戦略の思惑 一気に9車種販売休止!! 台数激減でも自信満々

スバルの上半期の販売台数は激減

 このようにスバル車は、最近になって、一斉に切り替わりの時期を迎えて受注を終えた。販売する商品が減って困らないのか、この点も販売店に尋ねた。

 BRZやレヴォーグはフルモデルチェンジに伴って販売を中断している状態であることを前提に、他の車種についても言及。

「インプレッサは10月にマイナーチェンジを受けましたが、この影響で7月には受注を中断しました。その後は在庫車を売ってきました。またその前の9月には、XVも改良されています。直近ではフォレスターもマイナーチェンジを控えており、いずれの車種も販売の中断によって売れ行きを下げました。それをこれから挽回するわけです」。

2020年10月8日にインプレッサG4にe-BOXERとSTIスポーツを追加し、同日販売を開始。セダンのG4には設定されていない
2020年10月8日にインプレッサG4にe-BOXERとSTIスポーツを追加し、同日販売を開始。セダンのG4には設定されていない

 スバルの販売台数を振り返ると、コロナ禍の影響が収まってきた2020年7月以降も、大幅なマイナスが続いている。7月は国内市場全体では前年同月に比べて14%の減少だったが、スバルは27%減った。

 同様に8月の国内市場は16%の減少だが、スバルは36%のマイナスだ。9月は国内市場が14%、スバルは45%減った。

 2020年度上半期(2020年4~9月)をトータルで見ると、国内市場全体では前年同期に比べて23%の減少だが、スバルは42%減っている。

8月、9月は普通乗用車の大幅減が顕著
8月、9月は普通乗用車の大幅減が顕著

スバルは効率のいい商売をしている

 ここまで販売台数が下がっても販売会社が維持される背景には、スバルの店舗数が少ないことも影響しているだろう。全国に展開されるスバルの店舗数は約460箇所だ。

 トヨタ4系列を合計すると約4600箇所だから、スバルは10%の規模に収まる。ホンダは約2170箇所、日産は約2080箇所だ。

 そこで2020年度上半期における1店舗当たりの販売台数を割り出すと、スバルは88台(1カ月平均なら15台)、トヨタは141台(同24台)、ホンダは130台(同22台)、日産は98台(16台)になる。

スバルはジャスティをダイハツトールのOEMとして販売中。2020年9月24日にマイチェンによりよりスポーティにリフレッシュ
スバルはジャスティをダイハツトールのOEMとして販売中。2020年9月24日にマイチェンによりよりスポーティにリフレッシュ

 スバルの1店舗当たりの台数は少ないが、販売台数が昨年に比べて42%も減った割には、トヨタ、ホンダ、日産と比較してあまり変わらない。

 さらにスバル車は、価格が全般的に高い。OEM軽自動車も国内で売られるスバル車の20~25%を占めるが、75%以上は小型/普通車だ。

 そしてスバル車の中では価格の安いインプレッサも、売れ筋価格帯は220万~260万円になる。その次に売れるフォレスターは、300万円前後が中心だ。

 いっぽう、ホンダでは軽自動車の比率が50%以上に達する。最多販売車種のN-BOXは、軽自動車では高価な部類に属するが、カスタムでも売れ筋グレードは170万~180万円だ。インプレッサに比べれば安く、N-WGNは中心価格帯が150万円前後まで下がる。

 日産も軽自動車の比率が45%前後で、残りはノートとセレナだ。セレナは高価格だが、ノートはハイブリッドのe-POWERが中心ながら、価格はインプレッサと大差ない。

スバルはオリジナル軽自動車の開発・生産から撤退し、現在はダイハツからOEM供給を受けていて、軽自動車依存度は低い。写真はタントのOEMであるシフォン
スバルはオリジナル軽自動車の開発・生産から撤退し、現在はダイハツからOEM供給を受けていて、軽自動車依存度は低い。写真はタントのOEMであるシフォン

 トヨタは高価格車のアルファードやハリアーも好調だが、コンパクトなヤリスやライズの販売台数も多い。

 このように見てくると、スバルは通常では効率のいい商売をしている。スバルの商品企画担当者は「スバルの1店舗当たりの車両販売に基づく売り上げは、日本車ディーラーではレクサスに次いで高いです」という。

 だからこそフルモデルチェンジや改良に基づく販売中断が集中して、対前年比が大きく下がっても、痛手は少ないのだろう。

次ページは : スバルの販売方法ではユーザーを長期間待たせてしまう

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