ポルテ/スペイド絶版の裏にルーミー/タンクの好調と棲み分け
本来であればトヨタはポルテ/スペイドをフルモデルチェンジして、ルーミー/タンクのように両側スライドドアを採用、安全対策も最新の進化バージョンであるトヨタセーフティセンスを装備すれば、人気復活は可能なはずだった。
それをしなかったのは、子会社であるダイハツの分野に開発技術を踏み込むのをやめたためと思われる。
ルーミー/タンクは、ダイハツの軽自動車のノウハウを生かしたハイトワゴンであり、軽自動車づくりの延長線上で開発すれば低コストで仕立てられるとの読みがあったともいえる。
両兄弟車を比較すると、商品力の差がわかる。ボディサイズはポルテ/スペイドの全長3995×全幅1695×全高1680mmに対して、ルーミー/タンクは、同3715×1670×1690mmでポルテ/スペイドの方がひと回り大きいが、全高はルーミー/タンクの方が10mm高い。
室内はポルテ/スペイドが長さ2160×幅1420×高さ1380mm、ルーミー/タンクは同2180×1480×1355mmでルーミー/タンクの方が室内は広い。
車両本体価格は、ポルテ/スペイド=186万2300~224万4100円、ルーミー/タンク155万6500~209万円で20万円以上もルーミー/タンクの方が安い。
エンジンは、ポルテ/スペイドが1.5Lで、ルーミー/タンクは1.0L・NAと同ターボだからNAではルーミー/タンクの方が劣るがターボを選べば走りでは互角といえる。
したがって両方を見比べれば安くて室内が広く、使い勝手のよいルーミー/タンクを選ぶのは当然といえる。
ルーミー/タンクは9月15日のマイナーチェンジで統合し、ルーミーに1本化した。これによって今後月販1万台から1万5000台規模で推移する見通しとなっている。
トヨタ販売現場での反響は?
【証言1:首都圏トヨタ店営業担当者】
ポルテ/スペイドは、9月中旬にメーカーから生産中止の通達があり、以降在庫一掃セールを行って来たが、今現在は売り切った状態になっている。
購入希望者についてはルーミーに振り向けるか中古車の販売で対応している。4年落ちで120万~140万円、走行距離1万km以内のタマが中心になっている。
今後はルーミーが実質的な後継モデルになるので、復活することはないだろう。ルーミーはマイナーチェンジしてタンクと合体したようなエクステリアデザインになりさらに人気が高まっている。
【証言2:首都圏トヨペット店営業担当者】
ポルテ/スペイドは、ルーミー/タンクが発売になってから急激に売れなくなっている。当初はすぐにでも生産を中止し、ルーミー/タンクに引き継がれると予想していたが、意外に今日まで継続していたのは不思議な感じがした。
コンセプトが多少異なるので両立が可能と判断していたのかもしれない。ポルテ/スペイドは、助手席側が開口部の大きい1枚のスライドドアでピラーレスだから、カサモノの出し入れには便利だが、助手席まで開いてしまうのでプライバシー上問題があるとの指摘もあった。
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