■「ハンドリング」はどう変わる?
高速道路120km/h時代における軽自動車のハンドリングで重要なことはまず直進性だ。テスト車はeKスペースがFFで全高が1780mm。eKクロススペースは4WDで全高が1800mmだ。そのほかの全長/全幅/ホイールベースは同じ。
当日は風が非常に強く影響を受けやすい。ただ新東名は全線にわたって山から降りてくるからっ風が恒常的にあるとのこと。つまり横風だ。背の高い2台にどのような影響があるのだろう?
まずeKクロススペースから始めよう。
80km/hレベルでの自立直進性はまったく問題がなく、ステアリングもしっかりとニュートラル域の落ち着き感が高い。横風や路面の凹凸による外乱にもそれほど影響される様子はなく直進性は保たれる。100km/h に上げても大きな変化はない。
ただしこの速度になると大型トラックを追い越す機会が増えるのだが、追い越した瞬間に横風を受けて少しフラつく。
注目の120km/hだが、基本的に直進性はしっかり保たれている。ただ横風を受けた時や大型トラックの追い越しでフラつきが大きくなる。ステアリングをしっかり保っていれば問題ないが。
次にeKスペースはどうか? 80km/hでは同じように安定感もステアリングの座りも問題ナシ。ただし100km/h、120km/hと速度を上げていくにつれ前記2つの外乱に対してフラつきが大きくなる。
特に120km/hでの横風に対してはかなりシビアな状態になった。
eKクロススペースのほうが車高が高いのに安定していたのは、4WDのためリアサスがトルクアーム式3リンクであることが直進性に影響したのではないかと考えられる。
■「クルマの挙動」はどう変わる?
ボクはもともとレーシングドライバーだ。さまざまなレーシングカーでレースをしてきたけれども、直進性が悪いマシンでコーナリングがよかった試しがない。
直進性が安定しているクルマほど鈴鹿130R(高速コーナー)には思い切って飛び込める。
前項で述べたように直進性とクルマの挙動には密接な関係があるのだ。
実際にeKスペースよりもeKクロススペースのほうがより安定した挙動を示した。タイヤスペックの違い、4WDかFFか、リアサスのスペック違いといったメカニズムの違いによる走行性能に明らかな差が出たわけだ。
新東名は120km/h想定に合わせてキツいコーナーはない。問題は強い横風時の緩いコーナーで、しかも下り坂。
eKスペースのFFでは80~100km/hに落とすべきだろう。eKクロススペース4WDならそれほど大きな不安はないだろう。
最後に挙動で問題となるのがレーンチェンジ。操舵時、リアを軸にしてフロントのロール感が大きいが、両車とも非常に挙動は穏やかで安定性が高い。
それでもやはりレーンチェンジ後のロールの収束、レーンチェンジ中のステアリングへの反応、すべてのプロセスにおいてeKクロススペース(4WD)のほうが安定・安心感が高かった。
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