生産終了のホンダS660はあっという間に完売! ホンダのミニスーパーカーは日本の宝だ!!

■ホンダの「走る喜び」を凝縮した「S660」はモデューロXの人気も高かった

 そんなS660は、本田技術研究所設立50周年を記念した商品企画提案がきっかけで開発が始まり、あらゆる場面でいつでもワクワクする、心が昂る本格スポーツカーを追求し、ホンダらしい「走る喜び」の実現を目指したモデルとして2015年4月に発売された。

 2015年というと、くしくも日本が誇る2シーターオープンの雄、マツダのロードスターがND型に移行した年でもある。日本カー・オブ・ザ・イヤーでは接戦の末に敗れたものの、この年を象徴する1台であったことには違いない。

 2018年には、ホンダアクセスが手がけたコンプリートカーの「モデューロX」が加わった。ノーマルでも充分に楽しいところ、モデューロブランドが培ってきた「上質でしなやかな走り」を実現するチューニングを施されたS660は、その他の車種では3~5%程度のところ、S660は実に約15%という高い販売比率を誇ったことに関係者も驚いていた。

モデューロXの販売比率が他車比で高かったのもS660の特徴。ファイナルバージョンとなるバージョンZも早々に完売。コンプリートカーだけにこの仕様の台数が限定されてしまうのは仕方ない
モデューロXの販売比率が他車比で高かったのもS660の特徴。ファイナルバージョンとなるバージョンZも早々に完売。コンプリートカーだけにこの仕様の台数が限定されてしまうのは仕方ない

 2020年1月には初のマイナーチェンジを実施し、「デザインの深化」をコンセプトに内外装をリフレッシュするとともに装備の充実を図った。

 それまでブラックだったフロントピラーがボディ同色にされたほか、フロントグリルやアルミホイールのデザインや灯火類の色が新しくされたことで、雰囲気がだいぶ変わった。新色のひときわ目を引く鮮烈な「アクティブグリーン・パール」は、まさしく小さなスーパーカーのようだった。

 インテリアでは上級の「α」のシート表皮が変更され、待望のシートヒーターが追加されたほか、ステアリングホイールとシフトノブなど常に手に触れる部分にアルカンターラが採用されて質感が格段に高まった。

 そして2021年3月に、冒頭の生産終了と当時に最後の特別仕様車として、数々の専用装備の与えられたモデューロX バージョンZが発表されるや、同モデルの生産枠が真っ先になくなったというが、そうなったのも無理もない。

■貴重なスポーツカーとして、これからも末永く愛されるクルマになるだろう

 当初の狂熱が一段落した2018年以降も、毎月コンスタントに200台前後が売れた計算となり、ライバルといえるコペンとしのぎをけずるようになったのは、数が減ったというよりも、コペンともどもこの世界観に共感し期待する人が一定数ずっと存在するからにほかならず、むしろ誇れることではないかと思っている。

 おそらくオーナーの大半が車両を複数所有しているはずで、それならなおのこと、求められるのは普通のクルマでは味わえない「非日常」的な体験をさせてくれること。

収納スペースすら限定的、タイトで走る事に徹したS660のコックピット。基本一人乗りで助手席がラッゲージスペース代わりで走りを楽しむ、今どき珍しいピュアスポーツカーであった
収納スペースすら限定的、タイトで走る事に徹したS660のコックピット。基本一人乗りで助手席がラッゲージスペース代わりで走りを楽しむ、今どき珍しいピュアスポーツカーであった

 その点、世界最小のミドシップオープン2シーターであるS660は非日常性のカタマリだ。ロールトップの着脱は少々手間がかかっても、ほとんど荷物を置くスペースがなくても、そんなことは問題ではない。

 中古車は間違いなくプレミア相場になるだろう。特に特別仕様車のバージョンZは、かなりのことになると思う。そして、現役が終わってまもなく25年が経つビートをはじめ、「平成ABCトリオ」と呼ばれる3台が、今でも中古車市場で存在感を発揮しているように、S660もこれからもずっと注目されつづけることに違いない。

生産終了は惜しいが、これまでに世に出た約3万台のS660が長らく愛されることを願っている
生産終了は惜しいが、これまでに世に出た約3万台のS660が長らく愛されることを願っている

【画像ギャラリー】突然の生産終了発表で注目集まる・・ホンダ S660写真集

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