トヨタ全店全車販売 国内メーカー提携 コロナ ゴーンショック… クルマ界「あの話題」の前と後


■日産、カルロス・ゴーン体制時とその後で社内変化はあるのか?

 いろんな意味で日産の顔だったカルロス・ゴーン。氏の体制が終わってから2年と数カ月経過。その後の日産に変化はあるか? 商品戦略は変わったのだろうか?

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 2018年11月、1999年6月から19年余にわたって続いていた日産のゴーン体制が突如瓦解した。日産という企業、文字通りゴーン思想で動いていたことを考えると、混乱に陥ったことは想像に余る。

 とはいえさすがのゴーンも、日産のすべてをコントロールしていたワケじゃありません。

 飛行機でいえば、巡航高度で飛んでいる状態。ゴーン体勢末期になると少し気流の悪い空域となってましたが。

 加えて自動操縦(オートパイロット)のスイッチも入っているため、ゴーンの指図なくても日産という飛行機は飛んでいられる。

 しかし! 飛んではいるものの、それまでの空域選びに判断ミスあったため、状況は徐々に悪化。さらに目的地選びもしなければならなくなっていた。

 表向きは混乱していないが、突如機長を失った飛行機と同じようになってしまったワケです。そして次の機長も見えず。

日産グローバル本社

●舵取り役は内田社長だが…

 実際、今の日産を誰がコントロールしているのか見えにくい。というか誰なんだろうか? 

 内田誠社長がすべて決めているかとなれば、そうじゃないように思える。

 豊田章男社長と違い、オールラウンダーじゃありませんから。2003年に日商岩井から日産に入ったあとの経歴、主として購入関係。自動車企業の社長としてのパーツをすべて持っているかと聞かれたら難しい。

 ルノーとの関係もコントロールしなくちゃならない。

 この件、日産の皆さんに聞くと口を揃えて他に適任はいないと言う。「最高じゃないかもしれないが、内田で行くと決めたから前を向いて頑張るしかない」ということです。

 幸い、ゴーン体制末期に日産のデザインをすべて決めていた中村史郎さんが2017年に退任。アルベイザさんという才覚あふれた人に代わった。

 これから出てくるモデル、軽の電気自動車を除き、すべて売れそう。いい人事だったか?

2017年にデザイン・トップに就いたアルベイザ氏。氏のテイストが現在、浸透中

●日産、案外いい感じかもしれない(!?)

 戦略面とルノーとの折衝は、あまり表に出てこないけれど、井原慶子社外取締役がいい仕事をしているようだ。

 現在仕込み中の新型車群は、井原さんの意向が大きく反映されていると聞く(e-POWER戦略も井原さんが猛プッシュしている)。

 500万円という思い切ったARIYA(アリア)の価格戦略も、星野朝子副社長、井原さんともに強く支持している模様。

 ルノーとの折衝も日産ペースで進んでいるという。日産、案外いい感じなのかもしれません。 

(TEXT/国沢光宏)

【閑話休題】変化の現われはデザインにも! Vモーショングリルが進化中だ

 本文中にもあるが、ゴーン体制末期の2017年4月、デザイン・トップに就いたのが写真上のアルフォンソ・アルベイザ氏。

 ここにきて日産車全体のデザインの方向性も滲み出てきており、象徴的なのがVモーショングリル。今年登場のアリア、こうして見ると2013年登場のエクストレイルより進化していることがわかる。

日産 アリア

■トヨタ全店の全車扱いが実施されて、販売現場で起こった変化とは?

 トヨタの販売店が全国的に全店で全トヨタ車を扱い始めてもうすぐ1年。販売現場で起こった変化とは?

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 2020年5月以降、トヨタのすべての販売店でトヨタの全車を買えるようになった。この変更で生じた最も大きな変化は、トヨタ車同士の競争と販売格差が広がったことだ。

 一番顕著なのはアルファードとヴェルファイアの登録台数。

 現行型の登場時はヴェルファイアが多く売れたが、マイナーチェンジでフロントマスクを変更するとアルファードが上まわった。

 さらに全店が全車を扱うようになり、2020年12月の登録台数はアルファードが前年の1.5倍に増えて、実質的に同じ内容のヴェルファイアは半減している。

 登録台数に8倍の差が生じた。以前はヴェルファイアを専門に販売していたネッツトヨタ店からも「最近はアルファードに乗り換えるお客様が増えた」という話が聞かれる。

 同様の理由でハリアーも登録台数を伸ばし、以前から全店で販売していたプリウスやアクアは、顧客を奪われて売れゆきを下げた。

 ルーミーも1.5倍に伸びたが、姉妹車のタンクは廃止された。

 このように販売格差が広がると、人気車は生産が間に合わず納期が遅れる。販売店では「アルファードの納期は3カ月を要しており、ヤリスクロスもハイブリッドは半年以上に達する」という。

 また、トヨタの販売会社同士の競争が激しくなった。例えばアルファードやハリアーは、以前はトヨペット店だけが扱ったから、ユーザーは販売系列を選べなかった。

 しかし今は全店が扱うため、より自宅に近い店舗でも購入できる。

 取り扱い車種が共通になったので、店舗の立地条件を含め、販売会社の実力が従来以上に問われるようになった。

 トヨタ店とネッツトヨタ店が隣接する場合など、従来は販売車種が異なるから併存できたが、今後は競争に負けて廃止される店舗も生じる。

「取り扱い車種が一気に増えて商品知識が追いつかない。特に修理を行うメカニックが苦労している」と話す販売店員もいる。販売と修理の両方で手間を要するだろう。

 このように全店が全車を扱うようになり、車種の売れゆきから販売店の実績まで、トヨタ同士の競争と格差が進んだ。その結果、車種や店舗数の減少、納期の遅延などユーザーの不利益も生じている。

都内のトヨタ販売店はひと足早く2019年5月から統合されて、店舗外観も新しくなっている

(TEXT/渡辺陽一郎)

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