■トヨタのカンパニー制導入。この先も含め、導入後の変化はないのか?
ざっくりいうと、トヨタ社内にいくつかの会社を設けるようなカンパニー制。2016年導入とまだ日が浅いが、変化の兆しは見えないのか!? 国沢さん、わかる部分、あります?
* * *
編集部から電話かかってきて「2016年にトヨタがカンパニー制を導入しましたけれど、導入前と後で変わったことを書いてほしいのですが」。
う~ん! 最初から白旗をあげます。そんなこと外部からわかるワケない。
100歩譲って10年ほど経過した後なら売れゆきなどで評価できるものの、5年ではカンパニー制になってから企画したクルマが出るか出ないか、というタイミング。結果すら出ていない。
とはいえ「書け」と言われたら何かカタチにしなくちゃならない商売なのでトヨタに「まったく見当違い!」と言われることを覚悟で以下。
まずカンパニー制の目的だけれど、各部門で結果を出しなさい、ということだと思う。
なかには「各部門の採算性を追求するため」という人もいるけれど、そんなこと言ったら『先進技術カンパニー』なんか直接的な利益をあげられない。『パワートレーンカンパニー』だって稼げないです。
さらに「カンパニー制導入で変わったように感じるか?」と聞かれたなら、「外部からは今までとの明確な違いは感じません」と答える。
プレジデントと呼ばれるカンパニー長同士の関係も、以前から仲よければそのまんま。悪いとウワサされる人達は相変わらず悪いまんまです。
独自性が伴ったりするかどうかについちゃ、プレジデントの人柄次第。ここまで読むと「なんのために取り入れたんでしょう」と思うかもしれません。
強いて言えば独立性が付きましたね、と感じる。プレジデントの責任分担は従来より明確になった。自分のカンパニー内であれば、独自の判断もできるようだ。
例えばRAV4やハリアー、MIRAIを担当しているミッドサイズカンパニー。相当自由なクルマ作りをしているように思う。
あまり話題にあがらないけれど商用車を中心に作っているCVカンパニーもカンパニー制度が始まってから業績を伸ばしてます。しっかり機能していると思う。
(TEXT/国沢光宏)
■日産、カルロス・ゴーン体制時とその後で社内変化はあるのか?
いろんな意味で日産の顔だったカルロス・ゴーン。氏の体制が終わってから2年と数カ月経過。その後の日産に変化はあるか? 商品戦略は変わったのだろうか?
* * *
2018年11月、1999年6月から19年余にわたって続いていた日産のゴーン体制が突如瓦解した。日産という企業、文字通りゴーン思想で動いていたことを考えると、混乱に陥ったことは想像に余る。
とはいえさすがのゴーンも、日産のすべてをコントロールしていたワケじゃありません。
飛行機でいえば、巡航高度で飛んでいる状態。ゴーン体勢末期になると少し気流の悪い空域となってましたが。
加えて自動操縦(オートパイロット)のスイッチも入っているため、ゴーンの指図なくても日産という飛行機は飛んでいられる。
しかし! 飛んではいるものの、それまでの空域選びに判断ミスあったため、状況は徐々に悪化。さらに目的地選びもしなければならなくなっていた。
表向きは混乱していないが、突如機長を失った飛行機と同じようになってしまったワケです。そして次の機長も見えず。
●舵取り役は内田社長だが…
実際、今の日産を誰がコントロールしているのか見えにくい。というか誰なんだろうか?
内田誠社長がすべて決めているかとなれば、そうじゃないように思える。
豊田章男社長と違い、オールラウンダーじゃありませんから。2003年に日商岩井から日産に入ったあとの経歴、主として購入関係。自動車企業の社長としてのパーツをすべて持っているかと聞かれたら難しい。
ルノーとの関係もコントロールしなくちゃならない。
この件、日産の皆さんに聞くと口を揃えて他に適任はいないと言う。「最高じゃないかもしれないが、内田で行くと決めたから前を向いて頑張るしかない」ということです。
幸い、ゴーン体制末期に日産のデザインをすべて決めていた中村史郎さんが2017年に退任。アルベイザさんという才覚あふれた人に代わった。
これから出てくるモデル、軽の電気自動車を除き、すべて売れそう。いい人事だったか?
●日産、案外いい感じかもしれない(!?)
戦略面とルノーとの折衝は、あまり表に出てこないけれど、井原慶子社外取締役がいい仕事をしているようだ。
現在仕込み中の新型車群は、井原さんの意向が大きく反映されていると聞く(e-POWER戦略も井原さんが猛プッシュしている)。
500万円という思い切ったARIYA(アリア)の価格戦略も、星野朝子副社長、井原さんともに強く支持している模様。
ルノーとの折衝も日産ペースで進んでいるという。日産、案外いい感じなのかもしれません。
(TEXT/国沢光宏)
【閑話休題】変化の現われはデザインにも! Vモーショングリルが進化中だ
本文中にもあるが、ゴーン体制末期の2017年4月、デザイン・トップに就いたのが写真上のアルフォンソ・アルベイザ氏。
ここにきて日産車全体のデザインの方向性も滲み出てきており、象徴的なのがVモーショングリル。今年登場のアリア、こうして見ると2013年登場のエクストレイルより進化していることがわかる。
コメント
コメントの使い方