トヨタ全店全車販売 国内メーカー提携 コロナ ゴーンショック… クルマ界「あの話題」の前と後

■クルマの「前と後」フルモデルチェンジを経て販売が大きく伸びたモデル、逆に低速したモデルの「なぜ」

 フルモデルチェンジした後大ヒットするクルマもあれば、「前のほうがよかった」と嘆くクルマも。ナゼそうなった?

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 当たり前の話ながら、自動車メーカーは販売台数を増やすためフルモデルチェンジを行う。

 なかには新型N-ONEのように「撤退することも攻めることもできない」苦肉の策のモデルチェンジなどあるけれど、基本的に「先代よりたくさん売りたい!」と考える。

 されど失敗することだってあります。典型例が現行プリウス。先代プリウス、世界規模で売れまくりました!

 日本市場においても1年以上バックオーダーが解消しなかったほど。アメリカや欧州に行くと、いまだにたくさんの先代プリウスをタクシーとして使っているほど。

 そして現行モデル、登場直後の2016年の販売台数は約24万8000台と、約16万8000台売った2位のアクアに大差をつけたが、その後、大失速。販売台数は激減! 2020年の販売台数見ると20位に沈んでしまった。

●「カッコ悪いものね……」

 なぜ大失敗したか? もう簡単です。歴代すべてのプリウスを買ってきた私も現行モデルは見た瞬間「こら買う気にならん!」と思うほどカッコ悪かったからだ。

プリウス。今はこの顔です。2020年販売台数:6万1500台/ランキング21位(PHV、α含む)
プリウス。今はこの顔です。2020年販売台数:6万1500台/ランキング21位(PHV、α含む)

 燃費など向上しているものの、あそこまで厳しいスタイルだと腰が引けてしまう。

 今回編集部が選んだ「失敗した3モデル」を見ると、すべて先代よりカッコ悪いと思う。ステップワゴンも見た瞬間「シルエットが軽自動車と同じですね」。いいクルマなのに。

ホンダ ステップワゴン。ハイブリッドが高価すぎか。2020年販売台数:3万4441台/ランキング32位
ホンダ ステップワゴン。ハイブリッドが高価すぎか。2020年販売台数:3万4441台/ランキング32位

 エルグランドは先代が大きく立派に見えるデザインを採用し人気に。けれどモデルチェンジで地味にしちゃった。現行ヴェルファイアが地味路線を選んだ結果、アルファードの10分の1しか売れなくなったのと同じ理由です。

 ヴェルファイアからアルファードに移ったのと同じく、エルグランドからアルファードに逃げた。

●デザインの役割が大きい

 成功した4モデルはどうだろう?

 アルファードの場合、先代は地味なフロントグリルだったが、フルモデルチェンジ&MCでオラオラ的になり、車名からしてオラオラ的なヴェルファイアを地味に。すると! 先述どおり、アルファードの10分の1しか売れず。

トヨタ アルファード。いい感じのオラオラ顔になり今もヒット中。2020年販売台数:9万748台/ランキング7位
トヨタ アルファード。いい感じのオラオラ顔になり今もヒット中。2020年販売台数:9万748台/ランキング7位

 販売台数におけるデザインの役割、超大きいです。同じくノンビリしたデザインだったRAV4も、新型でガラリとアウトドアに振ってきた。ハード文句なし! 価格文句なし! 売れない理由を見つけられないほど。

トヨタ RAV4。スタイルも走りも一本筋の通ったSUV。2020年販売台数:5万4848台/ランキング24位
トヨタ RAV4。スタイルも走りも一本筋の通ったSUV。2020年販売台数:5万4848台/ランキング24位

 同じくヴィッツ改めヤリスも絶好調! 2016年は10位だった販売台数が5位に。同じくスペーシアもデザインでイメチェンしてます。こちらは2位へ大躍進!

(TEXT/国沢光宏)※紹介した「ランキング」は、登録車と軽自動車をすべてあわせた総合順位です

■リーマンショックの前と後 業界は「何が」一番変わったのか?

 2008年に世界経済を揺るがしたリーマンショック。この戦後最大の金融危機の後、日本の自動車業界が一番変わったのは何だったのか?

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 2008年に起こったリーマンショックは自動車メーカーの経営にも大きな影響を与えた。

 2000年代半ばまで、日本メーカーは基本的に思いついた新商品や新技術をイケイケドンドンで出す傾向が強かった。

 モデルチェンジは4年ごと。クルマの中身は同じながらデザインが違うという、いわゆる“兄弟モデル”を出すのもごく当たり前のことであった。

 ところがリーマンショックを境に、新型車の数が各社とも激減した。数だけでなく内容的にも遊び心や個性があるようなクルマが減り、ベーシックなクルマが大半を占めるようになった。

 リーマンショック時に日本メーカーは一様に経営のための資金が不足し、黒字なのに最悪倒産を迎えるのではないかというほど肝を冷やした。そこで各社、キャッシュを潤沢に持たなければ危ないと考え、経営効率を高めるためにモデル数を減らす方向に一斉に動いたのだ。

 その結果、日本メーカーの経営体質は強くなり、今回のコロナ禍を充分に耐えきることができた。だが、ユーザー側としては新商品が減ったことを寂しく感じるのもまた確かであろう。

トヨタも昨年から全店で全車を扱うようになり、ノアなどの今ある兄弟車が統合される予定
トヨタも昨年から全店で全車を扱うようになり、ノアなどの今ある兄弟車が統合される予定

(TEXT/井元康一郎)

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