独自のシンプル軽量システムで、価格は30万円前後
フロント2輪は、車体のバンク角に応じて傾き、片側のタイヤが障害物に乗り上げても、車体の平行を保つ。自転車に比べ、安定性と積載性は圧倒的に上だ。フル電動型はミニカー扱いなので、原付一種のように上限30km/hが適用されず、最大速度が40Km/hとなるのがポイント。加えてノスリスは、軽さと低価格を実現しているのが特徴だ。
「フロントの二輪機構はなるべくシンプル化し、軽さを追求。自転車の汎用部品を使うなどして低コストを目指しました。これも多くの人に乗ってもらうために必要な条件でした」。
さらに最重要ポイントとして「自立できること」を挙げる。三輪コミューターは自立できないモデルも多いが、ノスリスはストッパー機構を備え、スタンドなしでも基本的に倒れることがない。これらも「気軽に万人が乗るため必須の装備だった」と石井さんは話す。
走りは軽やか、バイクのテストライダーが開発に参加
カワサキだけに、もちろん乗り味にもこだわった。石井氏は、2015年に登場した世界初のスーパーチャージドバイク、Ninja H2で車体設計を担当。そのノウハウが活かされている。
「H2の鋼管トレリスフレームは元々、クロモリ鋼を使った自転車のロードレーサーがヒント。適度にしならせ、衝撃吸収性を高めました。同様にノスリスもやわらかい乗り味に仕上がっています」。
ハンドリングは軽やかで、乗れば違いがわかるという。「カワサキの強みとして、バイクのテストライダーが揃っていますからね。ニンジャ250/400の開発ライダーも参加しています」。
前二輪機構は一見シンプルながら、特にパーツの寸法に独自のノウハウがあるとのこと。「バイクのように造り込みたい気持ちを抑えるのが大変でした(笑)。落とし込み所を探るのが難しかったですね」と石井さんは笑う。
新時代モビリティのトリシティ、グラフィットと比べると?
エンジン付きの前二輪+後一輪ビークルと言えば、ヤマハのトリシティ125が代表格だ。ノスリスと比べて前二輪が凝った構造で、車重は一般的なスクーターより30kg以上重い159kg(ノンABS)。また、自立機構を持たない。
2018年からAT小型限定2輪免許が最短2日で取得できるようになったとはいえ、免許のハードルもある。もちろん乗車時にヘルメットが必要だ。乗り味に関しては、ほぼバイクと言っていい。
もちろん前二輪の安心感は高いが、ヒラヒラとほぼ「バイク」を操縦している感覚。同じ三輪ながら、バイクらしいスポーティさを重視したトリシティ、安定性を重視したノスリスというコンセプトの違いが見える。
ペダル付きフル電動バイクとして人気のグラフィット・GPR-02はどうか。コチラは電動モーターのみで走行できるほか、人力でペダルを漕ぐことも可能。原付一種の扱いで、運転には原付免許が必要だ。公道では上限30km/hとなり、2段階右折が必要となる。もちろんトリシティと同様にヘルメットが必須だ。
ただし後日販売予定のパーツ「モビリティカテゴリーチェンジャー」(通称モビチェン、価格未定)を後付けすれば、完全に自転車に切り替えられる。これは、電源を切ってナンバープレートを自転車マーク付カバーで覆うシステムで、自転車道を走りたい時に活躍。
また、バッテリー切れでヘッドライトやウインカーが点灯できない場合、原付としての基準を満たせないため、ペダル走行モードで走行すると違法だが、そんな際にモビチェンがあれば合法的に自転車として使用できる。
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