実はデメリットのほうが多い? なぜ高速道路のETC専用化を進めるのか

目的もあいまいで、専用化実現への道のりは遠い

高速道路の料金所に短い列ができることはあるが、料金所“渋滞”はほぼ解消されている
高速道路の料金所に短い列ができることはあるが、料金所“渋滞”はほぼ解消されている

 非ETC車の誤進入対策も難問だ。NEXCOのスマートICは、非ETC車用が誤進入した場合のUターン路が設けられているが、通常の入口にはない。国交省は、ナンバーを読み取ることで後日請求するシステムを構築する方針だが、そのコストのほうが、当面はETC専用化による合理化コストを上回る可能性もある。

 よって、(2)の将来的な管理コストの削減も、遠い道のりだ。(3)については意味すら不明。(4)については、料金所収受員の多くがシルバー人材であり、今後ますます高齢者人口が増加することを考えると、人員不足に悩む事態は考えにくい。(5)に関しては、現在は確かに課題だが、5年後、10年後も新型コロナが問題になっているとは思えない。

 国交省は「コスト差を踏まえたETC利用車への還元策」も検討するとしているが、前述のように、ETCと非ETCの管理コスト差は、利用1回あたり100円程度。ETC車には現状すでに各種割引があり、その差は十分還元されている。「将来的な本線料金所の撤去」も謳われているが、これまたETC利用者にはほとんどメリットはない。

 高速道路のETC専用化は、一見合理的に見えるが、考えれば考えるほどメリットに対してデメリットが大きいと言わざるを得ない。

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