スズキ新型ソリオ販売絶好調の確かな実力と人気度をじっくり検証

■新型からはストロングハイブリッドが消滅

先代ソリオにはマイルドハイブリッドに加え、EV走行が可能なストロングハイブリッドが用意された。新型はマイルドハイブリッドに一本化された
先代ソリオにはマイルドハイブリッドに加え、EV走行が可能なストロングハイブリッドが用意された。新型はマイルドハイブリッドに一本化された

 新型ソリオはノーマルタイプと個性派タイプである「バンディッド」の2シリーズ構成となっている。ふたつの個性を持つフロントマスクで分けており、今回はノーマル3タイプ、バンディッド1タイプを設定している。

 バンディッドは(初代に設定のあった)EV走行可能なストロングハイブリッドを廃止し、改良型のマイルドハイブリッドに絞って搭載しているが、これまでの受注実績ではノーマルタイプのほうが70%程度と、高い構成比となっている。

 ノーマルタイプはNAエンジン1とマイルドハイブリッドユニット車2の合計3グレードなのに対して、バンディッドはマイルドハイブリッドエンジン搭載車1タイプであるのと、フロントマスクのデザインに好き嫌いがある、より個性的な顔立ちのために、シンプルな外観で仕立てたノーマルタイプのほうが人気は高くなっているようだ。

 発売当初、「EV走行可能なストロングハイブリッド車の廃止は新型ソリオの販売にマイナスの影響があるのではないか」と言われていたが、フタを開けてみると実際はそうではなく、大幅なプラス推移になっている。

 首都圏のスズキ販売店筋によると、「初代ソリオに設定していたストロングハイブリッドは1モーター&リチウムイオンバッテリーを組み合わせていたが、マイルドハイブリッドに比べて車両本体が20万円も高いのに、実走行燃費は1~2km/L程度しか延びていなかった。それにトランスミッションがマニュアルベースの2ペダル方式であり、変速ショックに違和感があったために、あまり売れ行きがよくなかった」という経緯がある。

 このために改良型のマイルドハイブリッドにしたほうがベターな売れ行きの推移となっている。

■新型ソリオの強みはモーターアシストが生み出す余裕の走り

 ライバルのトヨタ・ルーミー/ダイハツ・トールとの商品性の比較ではどうか。

 初代モデルでは室内の広さや使い勝手で負けている面があったが、今回の2代目ではサイズアップ、クオリティアップしたことで、室内の広さ、使い勝手では互角かそれ以上となった。

 優れているのは搭載するパワーユニットによる走りのポテンシャルの高さである。ルーミー兄弟は3気筒1リッターNA&同ターボなのに対して新型ソリオは4気筒1.2リッターNA&同マイルドハイブリッドユニットであるから、モーターアシストによる高トルクでの走りの良さ、静粛性、滑らかさで分があり、これが売りとなっている。

先代から全長を最大80mm延長し、後席の足元空間と荷室床面長を拡大した
先代から全長を最大80mm延長し、後席の足元空間と荷室床面長を拡大した

 ルーミー単独では月販1万台以上をコンスタントに売り、登録乗用車の銘柄別ランキングでは2位をキープするほどのヒット作となっている。月販5000台規模のソリオとの差は大きいように見えるが、しかし前述のようにソリオが多数のバックオーダーを抱えているのと、トヨタ全系列店とスズキ店のセールスパワーの違いを加味すれば、両モデルは互角以上の戦いをしているともいえる。

 価格帯は車両本体でソリオが158万1800~214万8300円に対してルーミーは155万6500~209万円でほぼ同じである。

 首都圏にある某スズキ店で売れ筋のソリオMZFF有料色のピュアホワイトパール、全方位カメラ付き(車両本体価格223万1900円)にフロアマット、ワイドバイザー、8インチナビ、カメラコントローラーキット、ETC、ドライブレコーダーなど約30万円のオプション&付属品を付けて弾いてもらうと、法定、法定外費用を含めて270万円弱と出た。

 値引きの初回提示額は総額から20万円程度と、発売したばかりの新型車にしては好条件といえる。

 ネッツ店扱いのルーミーに同じポジションのグレードに同レベルの装備品をつけて弾いてもらったら、初回の値引き回答は15万円程度と、ソリオより5万円程度渋い結果が提示された。

 こうした現場レベルでの比較を見ても、買い得感はソリオのほうが高いといえるだろう。

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