NSX最終章!! 最終モデルType Sは30台限定2794万円

■価格の妥当性と3代目へ紡ぐべき歴史

NSXは初代から徹底した「人間中心」を意識して作られた。「スポーツカー=MT」という時代だったにもかかわらず、ATモデルも用意され高性能スポーツを誰もが楽しめるモデルだった
NSXは初代から徹底した「人間中心」を意識して作られた。「スポーツカー=MT」という時代だったにもかかわらず、ATモデルも用意され高性能スポーツを誰もが楽しめるモデルだった

 NSXの歴史は「初代はスポーツカー、2代目はスーパーカー」と、一見共通性はないようにも見える。しかし、あるコンセプトでは共通点がある。それはホンダのよき伝統でもあり、多くの車種に採用されてきた「人間中心」のコンセプト。

 スポーツカーの初代NSXでもホンダが提案したのが、当時のポルシェやフェラーリにはなかった「人間中心」の扱いやすさだった。

 2代目は初代よりはかなり気を使う車高の低さや乗降性の悪さはあったが、普通に乗っている分には非常にイージードライブで快適だった。「人間中心」の思想は2代目にも引き継がれていたと思う。

 また、商業的に2代目NSXを見ると、アメリカに生産を行うPMC(パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター)を立ち上げたのに加え、総生産台数もTypeSを含めトータル6年で約3000台と少なく、存在意義は大いにあれどビジネスで見れば大苦戦と言わざるを得ない。

 同時に価格の妥当性を考えると、極端に言えばこの種のスーパーカーは「欲しい人はいくらでも買う」という類のものだけに、性能や機能だけで見れば2500万円から3000万円という価格も相応と言えば相応だったとは思う。

 さらに言えば今回のNSX TypeSの国内価格については北米価格よりもたしかに高価だが、右ハンドル対応やサイドマーカーの意匠変更など、たった30台の日本専用仕様を誂えたことを考えれば妥当に思える。

 ただ、この価格帯のスーパーカーは性能や機能だけで買うものでもなく、ブランドや伝統を買うという側面もある。NSXは高いブランド力や伝統のあるポルシェ911ターボ、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンと同じ価格帯の土俵に立っている。

 そのあたりも含め「これらのスーパーカーと迷った際に、NSXを選ぶ魅力があったか?」と考えると、ブランド力や伝統という意味で2代目NSXは弱かった。だからこそ、スポーツカーやスーパーカーに付帯する伝統や伝説を作っていくためにも、2代目NSXが作り続けられなかったことは非常に惜しい。

 それでも、2代目NSXが残した「電動スーパーカーの先駆け」という功績や影響は大きかったのではないだろうか。

 2代目NSXはTypeSで最後となるが、万が一にもモデューロや無限などのホンダ関係のブランドから純エンジン車とした、シンプルなスーパーカーとして現在の半額くらいで継続するようなことがあれば、PMCの活用(今後は少量生産車の生産などを行うようだ)も含め嬉しいが、そういったことはおそらくないだろう。

 今後のNSXに対する期待としては、自ずといつのことかも分からない3代目NSXに向くが、もし3代目NSXがあるなら初代と2代目同様の何らかの提案に加え、初代NSXが15年間続けられたような継続性のあるスポーツカー、スーパーカーになって欲しい。その時を気長に待ちたい。

初代は1990年のバブル期から2005年の不況までひとつのモデルに改良を加えて乗り越えた。それはNSXに対するホンダの意地でもあったはずだ。3代目NSXに会える日を楽しみにしたい
初代は1990年のバブル期から2005年の不況までひとつのモデルに改良を加えて乗り越えた。それはNSXに対するホンダの意地でもあったはずだ。3代目NSXに会える日を楽しみにしたい

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