■スポーツモデルである「AMG」の拡充もメルセデスの人気を支える原動力に
もうひとつ、メルセデスベンツの新車販売を語るうえで外せないのが、スポーティ&スポーツモデルのAMGだ。現在ではメルセデスAMG社という子会社だが、独自のスポーツカーのほかにメルセデスの量販車の最上級スポーツモデルとして、各車のAMGバージョンの開発を任されている。
以前はAMGバージョンといえばC、Eクラスのセダン/ステーションワゴンやSクラスセダンとわずかなSUVにだけ用意されていた。しかし、現在ではエントリーモデルのAクラスからセダン/ワゴン系、SUVはミニバンのVクラスを除く全モデルなど、フルEVのEQA、EQCを除く全車種にAMGバージョンが存在している。
この存在感はBMWのM、アウディのRSなど他ブランドのスポーツモデルの比ではない。しかも、このAMG販売の戦略もユーザー心理を考えたものなのだ。
通常、新車を購入する時はカタログを手に入れる。その際、メルセデスは必ずAMG仕様をカタログの後半にページを割いて入れているのだ。ちなみにライバルのBMWは、Mモデルは別カタログにしている。
メルセデスを購入しようとカタログを手にした人は、当然、高額だが魅力的なAMG仕様に目を引かれる。なかには、「一番高いやつを持ってこい」という豪快な人もまだいるという。
「AMG仕様は高額なモデルから売れる」(ヤナセ系セールス)という声もあった。実際に調べてみるとAクラスの場合、A35AMG(636万円)とA45S AMG(802万円)があるが、A45Sはもう在庫なしでA35はまだ購入できる。
このメルセデスAMGが全体の15%近くを占めている。実に8200台以上販売されている。
■顧客ニーズをいち早く捉え、新サービスを提供するディーラーも今の人気を支える
車種揃えの上手さだけではない。販売を取り巻くユーザーのニーズへの対応も見逃せない。ディーラーの全国店舗数は207店舗(2021年4月現在)。ヤナセ系とシュテルン系がある。ちなみにBMWは全国186店舗(同)だ
日本での新車販売は、セールスから購入するという文化が根付いている。この分野でのヤナセの強さは圧倒的で自他ともに認めている。こうした伝統的な商法に加えて、メルセデス日本は昨年4月に「デジタルトーク」というオンラインシステムを導入している。
ユーザーが購入を検討するのに必要な情報をオンラインで入手する。動画コンテンツや見積もりシミュレーションなどを活用し、自宅のパソコンから商談をスタートさせることができるというもの。さらにLINEを用いた「チャットでかんたん車選び相談」では、ユーザーのこだわり条件を入力していくと、ラインナップのなかからお薦めのモデルを紹介してくれる。
さらに予約から決済までオンラインで手続きができる「メルセデスベンツ レント」はスポット数と貸出し車両の拡充を実施したり、短時間貸し出しなどのプランを導入したことで、利用が1.5倍になった。しかもここでメルセデスを体験してから購入というユーザーも増えているという。
クルマのバリエーション拡大だけでなく、販売方法にも新しいチャレンジを採り入れているメルセデスベンツの牙城は当分ゆるぎそうにもなさそうだ。
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