■再定義されたGTBのデザイン
296GTBのデザインは、フェラーリのミドシップ2シーターベルリネッタのアイデンティティを再定義することで、独創的でモダンなスタイルを目指したという。短縮されたホイールベースを活かし、塊感を与えたスタイリングは、過去10年間のベルリネッタのなかで、最もコンパクトなものとなった。
最大の特徴は、従来のファストバックスタイルを捨て去ったこと。これによりパワーユニットが収まるルーフ後方部は大きく削り取られ、エンジンの存在を強調するデザインに仕上げられている。
また、一筆書きで描かれたような流麗かつシンプルなラインを描きながら、同時に力強さのあるフォルムを構築している。まさに新時代のファイティングスタイルのフェラーリなのだ。
■スーパーなデジタルコックピット
フルデジタルインターフェイスによるコックピットデザインは、SF90ストラダーレより採用されるものだが、前者では過去との決別の思いを込めて先進さが強調されたが、296GTBでは、最新技術を洗練されたコックピットデザインに溶け込ませることに注力。それがピュアでミニマリストな雰囲気を生み、力強さと美しさの調和に繋がっているという。
ボタンの配置は、ステアリングに集約したドライバー中心のレイアウトとなり、表示はメーターパネルに集約。助手席側との情報共有を図るべく、専用のサブディスプレイも設けられている。かなりモダンとなったコックピットだが、クラシカルなシフトを彷彿させるシフトパネルやフローティング構造のダッシュボードなど、往年のフェラーリを思い起こされるアクセントも加えられている。
■見どころ満載の新メカニズム
電動化以外の新メカニズムが多く採用されているのも、296GTBの魅力だ。458スペチアーレから導入されたアクティブエアロは、コンセプトを変更し、可動デバイスを従来までのドラック低減のためではなく、ダウンフォース増加のために活用。ラ・フェラーリにインスピレートを得たアクティブスポイラーをリアバンパーに内蔵している。
ブレーキシステムは、油圧と電気による調整を組み合わせた「ABS evo」を採用。ブレーキ・バイ・ワイヤーの恩恵で、ペダルストロークを最小限まで抑えることでスポーティな感触を強めている。
また、車両制御の情報収集のために自動車業界初となる6ウェイ・シャシー・ダイナミック・センサーも搭載。そのデータがABS evoコントローラーや車両の統合制御システムなどに活用され、より高度なアシストを実現し、走りに磨きを掛けている。
フェラーリは、296GTBを「走りの楽しさ」を再定義するモデルに位置付けている。その背景には、電動化時代になっても、伝統のフェラーリを駆る喜びは、進化し続けるというメッセージが込められているに違いない。まさにフェラーリは永遠に不滅なのだ。
日本上陸を果たしたフェラーリ296GTBは、10月31日~12月12日までの期間、全国各地のフェラーリ正規ディーラーでの展示イベントを予定している。兵庫県神戸市を皮切りに、大阪、広島、福岡、名古屋、横浜、東京、北海道と9カ所を巡る。
コメント
コメントの使い方