料金所で連日大渋滞!? 大型トラックの深夜割引はどうすべきか


 最近、TVやネットのニュースなどで取り上げられて話題になっているのが、深夜の東名高速・東京IC付近における渋滞だ。これは、大型トラックが割引の適用待ちのために料金所前で停車するために起きているという。

 では、このような渋滞はいったいどうすれば解消できるのか、そもそも割引は必要なのか、必要だとしても時間帯・料金などを見直すべきなのか? 本稿では、交通ジャーナリストの清水草一氏が、同問題の中身を解説、さらに解決案を提案していく。

文/清水草一 写真/清水草一、フォッケウルフ

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■深夜の東京料金所を実況レポート!

 緊急事態宣言が全面的に解除され、高速道路では、週末の行楽渋滞が戻ってきている。大型トラックが担う物流に関しては、宣言下でも国民生活に不可欠だったため、平常時の1割減程度で推移していたが、そちらもコロナ前の水準に戻りつつある。

 ところで、最近にわかに問題になっているのが、大型トラックの「深夜割引待ち」だ。首都圏では、深夜0時から適用される深夜割引(3割引)を受けるため、0時寸前から本線料金所が混雑する。なかでも東名の東京料金所(上り)では、本線上を車両が埋め尽くすのが日常的な光景になっている。

 10月最後の平日、29日の金曜日、東名東京料金所の状況は、以下の通りだった。

●23時頃~23時55分/下り線は徐々に交通量が増えるも、上り線の交通量は少なめで、0時に近づくにつれ、大型車がほとんど通過しなくなる。

●23時56分/東京料金所手前の路肩に、ハザートをたいて停車する大型トラックが現れ始める。

●23時57分/停車する大型トラックが目に見えて増加。左側2車線が止まる。

●23時58分/あっという間にすべての車線が、停車した大型トラックで埋まる。もちろん一般車両も動けない。

●0時0分 大型トラックが次々とETCゲートを通過し始める。

23時58分 あっという間にすべての車線が、停車した大型トラックで埋まる。もちろん一般車両も動けない。

そして、0時5分頃には、深夜割引待ち渋滞はほぼ解消した。

 この日は、渋滞が始まってから解消するまで10分もかからなかったので、実害は小さかった。巻き込まれた一般車両も、おかげで深夜割引を受けられたので、それほど迷惑ではなかっただろう。もちろん本線上に停車するのは道交法違反だが、事実上、取り締まる方法はない。

 深夜割引待ちで、大型トラックが3車線を埋め尽くし停車している画像や動画を見ると、非常に危険な行為という印象を受けるが、実態はそうでもない。最後尾に追いついた車両にとっては、通常の渋滞となんら変わりない。

 それより問題は、トラックドライバーたちの労働条件の悪化だ。多くのドライバーは、深夜割引を受けるため、わざわざ手前のSAやPAで時間調整を行っている。その結果、深夜労働を余儀なくされ、ドライバー不足にも拍車がかかっている。解決する方法はないのだろうか。

■深夜割引が導入された経緯と改革案

 その前にまず、深夜割引の意味を考えてみよう。高速道路に深夜割引が導入されたのは、04年11月からだ。目的は、「高速道路に並行する一般道路の沿道環境改善」だった。

 大型トラックには、03年9月からスピードリミッター(90km/hで作動)の設置が義務付けられた。それまで大型トラックは、深夜、高速道路を恐ろしい勢いでブッ飛ばしており、悲惨な追突事故が多発。その対策としての義務化だった。

 一方、高速道路に並行する一般道では、深夜、高速料金を節約するためにブッ飛ばす大型トラックが問題になっていた。03年のスピードリミッター義務化以降は、高速道路と一般道の速度差が減少したため、それに拍車がかかった。一般道を深夜、大型トラックがブッ飛ばせば、危険だし騒音も増加する。それを緩和するために、高速道路への深夜割引が導入されたという経緯である。

 深夜割引は、昼間の大型トラックの交通量を減らす効果もあった。NEXCOの高速道路では、渋滞は主に週末に発生するが、首都高では平日が中心。高速道路の深夜割引は、大型トラックの稼働を深夜にシフトさせることで、これを緩和する効果も果たしている。

緊急事態宣言解除後、週末の日中に郊外へ向かう一般車でごった返す高速道路の姿が復活している

 問題点を抱える一方で、そういった効果も上げている深夜割引だが、今年7月の国交省国土幹線道路部会では、深夜割引について、次のような中間答申がまとめられた。

「現在は、割引適用される時間帯に少しでも利用すれば、走行全体が割引されているが、これを、割引が適用される時間帯の走行料金のみを対象にするよう、見直しを検討する」

 深夜割引が始まった頃は、料金所の通過時刻で判断する以外に方向がなかったが、現在の技術を使えば、実際に深夜走った分だけ割り引くことが可能、ということだ。ただ、これを実施すると、割り引かれる金額は現在より大幅に減少する。しかも、「0時から4時までのド深夜を必ず使って走れ」ということになりかねず、かえって労働条件を悪化させる恐れがある。

 そのため中間答申では、「深夜割引の時間帯の拡大や、割引の開始時・終了時に渋滞が起きないよう、割引率を段階的に変化させることも検討すべき」としている。

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