■IS500とはどのようなクルマなのか?
では、北米ですでに導入済みのIS500とはどのようなクルマなのか、簡単におさらいしてみよう。北米専用車として2021年3月に発売が開始されたIS500のベースモデル、 Fスポーツパフォーマンスは、最大出力472ps/7200rpm、最大トルク535Nm/4800rpmを発生する自然吸気V8エンジンを搭載。
トランスミッションは、8速スポーツダイレクトシフトAT。エキゾーストシステムは、かつてのIS Fと同様、ハの字型にレイアウトされた左右2本ずつ4本出しで、ヤマハ製のリアパフォーマンスダンパー、14インチの2ピースアルミフロントブレーキローター、12.7インチのリアローターが奢られ、0→60mph(約97km/h)加速は4.4秒とされている。
V8エンジンを鼻先に収めるため、エンジンフードは通常のISよりもおよそ5センチ盛り上げられ、全長は1.9インチ(4.75cm)長くなっている。だが全高、ホイールベース、全幅は通常のISと変わらない。
またレクサスのラインアップの中での位置付けとしては、FスポーツのラインとRC Fのような「Fカー」の中間に位置するFスポーツパフォーマンスというラインの一番初めの車種となる。
アメリカではそもそもV8エンジン、大排気量の自然吸気エンジンの人気が高い。アメリカ人を熱狂させるモータースポーツのオールスターゲームと言っても過言ではない、世界3大耐久レースの一つデイトナ24時間で2006年からレクサスが3連覇を成し遂げた時のエンジンもV8で、アメリカ人にとってアイコニックな意味を持つパワートレインが最新型のISに搭載されたことになる。
気になるお値段だが、ベースとなるIS500 Fスポーツパフォーマンスは5万6500ドル(約638万円)から、同プレミアムが6万1000ドル(約689万円)から、500台限定の同ローンチエディションは6万7400ドル(約762万円)からとなっている。
アメリカではIS350 Fスポーツは4万3050ドル(約486万円)からのプライスタグがついているので、IS500のほうが150万円以上高いということになる。
500台限定のローンチエディションは、控えめなグレーの外装色と19インチのマットブラック塗装の鍛造7スポークBBSホイールが特徴。フロントのブラックアウトされたスピンドルグリルとそれを縁取るブラックステンレスとよくマッチする。アメリカ人が言うところの「Sleeper」、すなわち一見すると地味で超ハイパフォーマンスカーには見えない、羊の皮を被った狼というやつである。そしてシフトレバーの前方には限定500台のうちの何台目かを示すシリアルナンバー入りのプレートが貼られる。
IS500のプロモーション動画(もちろんアメリカ向け)をいくつか見てみた。肉食獣が唸り声を上げたような低いエンジン音が強調され、急激に吹け上がるエンジンが5000回転を超えたところでタコメーターの外周が一気にオレンジ色に染まり、そのままレッドゾーンの7500回転を目指して勢いよくメーターの針が右に振り切れるかのように動く。見ているだけでアドレナリンが出てきそうだ。
「電動化の流れにより車からエモーションが失われていくかもしれないなかで、アメリカ人が大好きなV8自然吸気エンジンに乗れるのはもうすぐ最後になるかもしれない」、「現にキャデラックではV8エンジンのクルマは2車種のみになってしまっている」、「だがレクサスは驚くべきことに今回新たにIS500を世に送り出し、IS、LC、GX(日本未導入、ランドクルーザープラドの兄弟車的存在)、LXの4車種でV8エンジン車を提供しているメーカーである」、「V8のエンジンノート、エクゾーストノートを楽しみたいエンスージアストは是非IS500に乗ってみてほしい」というメッセージが強調されていた。
このクルマの開発担当者クーパー・エリクソン氏は、「電動化の流れのなかでクルマからエモーションが失われるかもしれないという懸念があるが、このクルマの開発にあたっては情熱(passion)と熱意(enthusiasm)を強調したかった」と述べている。
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