2021年日本の3つのカー・オブ・ザ・イヤーを独占し、三冠王となった日産ノートファミリー。現行モデルに搭載されているパワートレインは全車e-POWERと呼ばれるシリーズハイブリッドとなっている。
e-POWERの進化も目を見張るものがあるが、特に変更の度合いが大きいのが4WD車だ。その大幅に進化したノートe-POWER 4WDの実力を雪上試乗会でチェックした。
文/萩原文博、写真/日産自動車
【画像ギャラリー】日産ノートオーテッククロスオーバーとノートオーラの詳細を画像で紹介(16枚)画像ギャラリー電動車の緻密な制御はドライバーに安心感を与える
これまで、日産の雪上試乗会には何度も参加し、リーフをはじめとした電動車の雪道や凍った路面などでの操縦性の高さは実感している。今回、長野県にある女神湖で開催された雪上試乗会には今回のメインモデルであるノートファミリーをはじめ、EVのリーフからスーパースポーツカーのGT-Rまで幅広い車種が用意されていた。
2020年11月に発表されたコンパクトカーの日産ノート。同年12月には4WD車の追加を発表。そして、2021年6月に3ナンバーサイズのノートオーラを発表し、8月にノートオーラの販売開始と同時にノートオーラNISMOを発表。そして10月にはオーテッククロスオーバーを追加しラインアップが完成。
今回の試乗会ではノート2WD車を除く全モデルに試乗できたが、インプレッションはノートオーテッククロスオーバーとノートオーラの4WDに絞って行う。
まず、搭載されているe-POWERのフロントモーターは最高出力116ps、最大トルク280Nmを発生。先代の最高出力109ps、最大トルク254Nmから出力が向上している。
発電する1.2L直列3気筒エンジンも最高出力82ps、最大トルク103Nmと、先代と最大トルクは同じだが、最高出力は79psから3馬力アップだ。
そして、大きく変わったのが4WD車に搭載されているリアモーター。先代モデルは最高出力4.8ps、最大トルク15Nmだったが、現行モデルは最高出力68ps、最大トルク100Nmと最高出力は約14倍となった。また、モーターの種類も先代の直流電動機から現行型は交流同期電動機とフロントモーターと同じ種類となっているのだ。
先代のノートe-POWERに搭載されている4WDシステムは、あくまでもモーターアシスト方式の4WDで、積雪や凍結路面などでの走りをサポートしてくれた。
しかし現行型のノートe-POWERに搭載されている4WDシステムは、最高出力68psというモーターを採用。さらに、前後独立したモーターを緻密に制御することで、ドライ路面をはじめ、ウェットやアイスバーン、深い雪道などといったあらゆる路面状況において、力強く安定した快適な走りを実現している。
また四輪を滑らかに駆動させるため、滑りやすい路面でも安定感のある力強い発進や加速が可能。一方、減速時は四輪の減速力を高精度に制御するため、車体をフラットに保ったまま安定して減速することが可能。
加えて、コーナリングにおいては、前後タイヤの駆動力の配分を自在に変えることが出来るため、滑りやすい路面でも高い性能を発揮するのだ。まさに、今回の雪上試乗会ではこの現行型ノート4WD車の実力を検証できるというわけだ。
しかし、リアモーターの最高出力の出力アップさせたことはメリットだけではない。デメリットとして車両重量が重くなっていることが挙げられる。現行型の2WD車と比べると+120kg。旧型モデルと比べると+40kg(X FOUR同士)と重量増となっている。
コンパクトカーでのこの重量増は燃費性能に大きく影響し、X 2WDの燃費性能はWLTCモードで28.4km/L。対して4WD車のX FOURは23.8km/Lと4.6km/Lマイナスとなるのだ。ここまでのデメリットを覚悟して、高出力モーターを搭載したノート4WD車の実力は一体どうなのだろうか。
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