現在、日本の自動車メーカーは8メーカーだが、中国には実に約10倍、77の自動車メーカーが存在する。そんなにたくさん自動車メーカーがあって、しかも隣の国なのに日本に正規輸入されていないのが不思議!?
77もある中国の自動車メーカーのなかで、はたして日本に輸入して乗りたいクルマはあるだろうか? それがあるのだ! ボルボを傘下に収めた中国民族系自動車メーカー、GEELYが作った新ブランド、LYNK&CO(リンク・アンド・コー)だ。
そのLYNK&COのSUVをドイツ在住モータージャーナリストの木村好宏氏が中国で試乗してきたので、報告してもらおう。
文/木村好宏
写真/LYNK&CO、木村好宏氏
初出/ベストカー2018年7月10日発売号
■ボルボを買収したGEELYが新たに作ったSUVブランド
現在、中国には77の自動車メーカーが存在する。大きくわけると海外メーカーとのジョイントベンチャーと民族系だ。しかしこの民族系メーカーの資質には大きな違いがあって、海外メーカーを買収した民族系とまったくの民族系にわかれる。これらはローバーを買った南京汽車や吉利汽車なども含まれるが、後者はまだまだ現役のボルボを買収したわけでその技術力、そして経済力は高い。
この吉利汽車=GEELYがLYNK&COという独自のブランドで欧州内でも販売する。今年の3月、アムステルダムでワールドプレミアされた小型SUVの「02」に対して、招待された欧州各国のジャーナリストの感想は一様にかつての日本車や韓国車のように欧州車、特にフランス車が駆逐されるのではないかという意見が多かった。というのはデザインも仕上げもまさにヨーロッパのテイストで高い品質を持っていたからだ。
そして今回、ようやくこの「02」を中国で試乗することができた。テストの場所は残念ながらGEELYの最新工場内の連絡道路である。中国はジュネーブ条約に加盟していないため、国際免許での運転が許されていないからだ。
■インテリアの質感、居住性はいかに?
02のボディサイズは全長4448×全幅1890×全高1528mmでボルボの小型車用プラットフォーム、コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー(CMA)上に構築されており、デザイン、特にフロントからの眺めは独自の存在感がある。高さが一般的なSUVよりも15cmほど低く、えいやっと乗り込む感じはない。それでもドライビングポジションは比較的高く周囲を眺め回すSUVの範疇だ。
いっぽう、リアの居住性は低いルーフにもかかわらずヘッドルームは充分にある。インテリアのデザイン、レイアウト、仕上げはまさにボルボ、すなわち欧州のプレミアム並みでVWよりちょっと上、アウディよりもちょっと下という感じだ。
10.3インチの大きなTFTディスプレイのデフォルト状態では、さまざまな情報を表示するがナビ画面がやや小さかった。しかし、これは多くの情報を一度に見たいという中国人ドライバーの嗜好で、もちろんナビ画面を全面表示することも可能だ。
同乗してきた中国人エンジニアはこのディスプレイに採用されている表面ガラスはi-Phone8とまったく同じものが採用されていると自慢する。こうしたハイテクサプライヤーを国内に擁するのは中国自動車メーカーの強みである。
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