■現行アウトバックの日本導入が遅れたワケは……!?
2代目レガシィをベースに1995年に誕生した初代アウトバック(日本名レガシィグランドワゴン、レガシィランカスター)は、その後2〜3代目と徐々に数を積み増すも、彼の地では車格的な面で不満も多かった。
それが前述のサイズアップで解消された4代目以降は、スバルの屋台骨を支えるモデルとして確たる地位を固めている。
なにせ北米市場だけでも年間ざっと20万台近く、すなわちスバル全数の20%近くを占めているのだから、その膨大なニーズに合わせないわけにはいかないというものだ。
すなわち日本においてのアウトバックは北米市場のおすそ分けかといえば、それだけではない。日本市場への登用が遅れた理由は現行レヴォーグで初披露されたアイサイトXの搭載を前提として開発を重ねていたからだ。
レヴォーグの完全刷新と間合いを計った一面もあるだろう。
とはいえ、日本のユーザーにとっての勘どころを時間をかけてでも整えてから展開しようという姿勢は評価できる。
■お家芸である悪路走破性能は妥協ナシ!
全長4870×全幅1875×全高1675mmの寸法は、例えばVWパサートオールトラックやボルボV60クロスカントリーといった同様のコンセプトを持つ輸入車に比べても大きい。
決定的に違うのは多くのタワーパーキングの利用も厳しそうな全高だが、これはデザインやパッケージに加えて、213mmの最低地上高を確保したサスの設計によるところも大きい。
悪路性能は決して譲らないという、アウトバックに対するスバルの意向は、年次を追うごとにむしろ強くなっているようにさえ感じられる。
ちなみに新型アウトバックを先行発売していた北米では、最低地上高を240mmまで高めたオフロードスペシャルとなる「ウィルダネス」というグレードも設定されている。
その走破性をほかのSUVやクロカン系モデルと比較した映像がYou Tubeのようなソーシャルメディアに多数挙げられているが、そこで話題になっているのがアウトバックの強力な走破性だ。
CVTでも手こずることなくじわじわと歩を進め、グリグリと低ミューの難所を乗り越える姿を目にすると、サスの伸縮や駆動制御などのノウハウもあれど、持ち前のメカニカルグリップ力の高さが伝わってくる。
■同社のSUVであるフォレスターとの棲み分けは?
と、そこまで悪路走破能力にこだわると、いよいよフォレスターとの棲み分けが難しくなってしまうのではないかと心配になるわけだが、室内長からくる後席のゆとりや実質的な使い勝手に効いてくる荷室長もアウトバックは一枚上手だ。
そして何より、アウトバックには重心の低さからくるオンロードでの走りの質感の高さがある。
これほど全高も高くなったアウトバックにその利はあるのかと最初は訝しがったが、筆者は直近で双方に数百kmずつ乗る機会があった。その印象からすれば、アウトバックにはやはりフォレスターにない動きの上質さが感じられる。
偶然にも同メーカーのスタッドレスを履いての試乗ゆえタイヤの特性差が極小とみるなら、発進から低速域にかけての乗り味の滑らかさや音と振動の少なさはアウトバックのほうが一枚上手。
さらに中高速になると操舵初期からのロールのリニアさ、そして高負荷なコーナリングでの姿勢のよさからくる安心感など、フォレスターとはひと味違うところをしっかりと見せてくれた。
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