こんな時代だからこそ、乗ってみたい【気持ちのいいエンジンが載ったクルマ9選】

■ヤングタイマー時代の気持ちのいいエンジンが載ったクルマは5選

現行国産車に物足りなかったら、ひと昔前の旧車を中古で乗るのも楽しい。最近、いわゆる“ヤングタイマー”と呼ばれる過去の名車に人気が集まっているのは、昔のスポーツエンジンの方が馬力は小さくとも官能性能はよりエキサイティングで楽しめるから。

昔話で悪いけれど、実際1990年代あたりまでは“珠玉の名機”と言いたいようなエンジンを積んだクルマが、手の届く価格でゴロゴロしていた。

■スカイラインR34GT-R/RB26DETT、2.6L直6ツインターボ

高騰中のR34GT-R。1999年1月に販売され、2002年2月に生産終了

2002年2月、生産終了するにあたり最終仕様として限定1000台が販売されたGT-R  VスペックⅡニュルのRB26DETT。ヘッドカバーにゴールド塗装されたN1仕様のRB26DETTエンジンが搭載され、エンジンパーツには強化シリンダブロックやバランス取りされた強化ピストン/コンロッド、N1タービン(メタル製)などを採用。高回転域で爆発的なパワーを発揮

当時も一番人気はやっぱりGT−Rで、R34へと進化を続けたRB26DETTのパワフルさは、クルマ好きなら誰もが一目置く存在。ストレート6らしいバランスのとれた回転フィールと、高回転域まで衰えないターボのブースト感は、サーキットでも公道でも王者の風格を漂わせていた。
RB26DETTの吹き上がりは、ちょうど最新のVR38DETTをスケールダウンしたフィーリング。とくに、全開時には豪快な吸気音を響かせる6連スロットルと、MAXブーストに到達したツインターボの金属音が、いまでも脳裏に新鮮だ。音的にもパワーフィールの点でも、コンペティション仕様の直系を感 じさせる“本物感”が歴代GT-Rすべてに共通する醍醐味といえる。

■JZA80スープラ/2JZ-GTE、3L直6ターボ

1993年5月から2002年8月まで販売されたJZA80スープラ。中古車市場では80人気はうなぎ上り

2JZ-GTE型3L直6シーケンシャルツインターボは、280ps/46.0kgm。映画『ワイルドスピード』では世界最強のエンジンとして紹介されていた

同じ直6勢では80スープラも選択肢のひとつだったが、2JZターボは280ps規制とシーケンシャルツインターボの相乗効果で、パワフルなんだけれどもキレがないといった評価。実力を出し切れていないもどかしさがあった。
3Lという余裕の排気量もあって絶対的なトルクはRB26DETTを上回るのだが、トップエンドの頭打ちが早い点とサウンドがマイルのなのが印象を鈍くしている。

チューニングカーならこういうしがらみがないから、ちょっといじったJZ系のパワフルさはRB系をしのぐド迫力に変身するのに、ノーマルでは全盛期のGT−Rの影に隠れてしまった不運を感じるエンジンといえるかもしれない。

そういえば、スープラはBMWとの共同開発モデル として間もなく復活するが、搭載されるBMW製3Lツインターボの実力は広く知られているとおり。価格はかなり高価なものになりそうだが、直6でスープラ が復活するというのも何かの因縁。かつてスープラに乗っていたオールドファンの注目を集めるのではなかろうか。

■インプレッサWRX STIスペックCタイプRA/EJ20、2Lフラット4ターボ

1990年代の高性能エンジンといえば、WRCやJAF戦ラリーを舞台に激しい戦いを演じていた、インプレッサSTIとランサーエボリューションのライバル関係も華やかだった。

前述のとおり、当時は280psという馬力自主規制があったから、インプもエボも歴代のスペックは大した違わないのだが、トルクの強烈な盛り上がりやピックアップの鋭さなど、実質的な戦闘力は代を重ねるごとに進化を続けていた。

個人的にもっとも印象強烈だったのは、インプは2代目GDBのスペックCタイプRA-R、エボでは4G63最終モデルのエボIXだ。

軽さとピーキーなエンジンというインプの持ち味を究極まで研ぎ澄ましたスペックCは、ギンギンに回るエンジンを高回転域にキープしたまま、シャープなステ アリングレスポンスで縦横無尽にワインディングを駆け抜けるイメージ。

エンジンもハンドリングもスイートスポットは広いとはいえず、乗り手を選ぶ手強い悍 馬というキャラクターがカッコよかった。

走ることだけをとことん研ぎ澄ました究極のロードゴーイングGDBと謳われた、WRX STIスペックCタイプRA-R。2006年11月、限定300台を販売

ベースとしたGDB型WRX STI spec-Cのボールベアリング付大型ターボのタービンブレードの枚数と形状を最適化、エアダクトホースの耐熱性を高めてストレート化し、専用開発のスポーツECUを組み合わせてトップパワーだけでなく中速域から高速域にかけてのレスポンスを格段に向上させた。EJ20エンジンは320ps/44.0kgmを発生

ライバルのエボIXは、連続可変バルブタイミングのMIVECを新たに得て登場した4G63は、タフなトルクを余裕のトラクション性能で吸収し、AYCの威力でぐいぐい曲がる走りっぷり。こちらは多少パワーゾーンを外しても余剰トルクですぐリカバーできるし、突っ込みすぎてアンダーステア気味に膨らんでしまっても、パワーオンのままAYC効果でノーズをイン側に引き戻すことが可能。当時の三菱の技術の高さが凝縮されていた。
いま思い返すと、この両車が名勝負の最終ステージで、レギュレーションの許す限界まで互いにエンジン性能を切磋琢磨していた。どんなジャンルでも好敵手の存在は素晴らしいものだが、STIとエボほど激しく競い合った例はちょっと珍しいと思う。

■CT-9AランサーエボリューションⅨ/4G63、2L直4ターボ

2005年3月に発売されたランサーエボリューションⅨ

ランエボ初の連続可変バルブタイミング機構MIVECターボが搭載され、コンプレッサーホイールに従来のアルミニウム合金からマグネシウム合金(GSRを除く)を採用し、レスポンスの向上を図った。280ps/40.8kgm(GSR)を発生。GT/RSは41.5kgm

■FD2シビックタイプR/K20A、2L直4

2007年3月に発売されたFD2シビックタイプR。スポーツセダンというより、足回りはガチガチで、サーキット走行専用車という印象

225ps/21.9kgmを発揮するFD2シビックタイプRに搭載されたK20A、2L直4DOHC i-VTECこの心臓とFD2セダンの高剛性ボディから得られる走りは刺激的だった

1980〜90年代は高性能エンジンのターボ化が進み、NA高回転型エンジンは劣勢に立たされていたが、そこで孤軍奮闘していたのがホンダだ。

ホンダがNA高回転型エンジンの魅力をあらためて世に問うたのは、95年デビューの初代DC2インテRからだが、続くEK9シビックタイプ、S2000などを経て、最後のNAエンジンのタイプRとなった、FD2シビックタイプRまで、この流れをくんだスポーツエンジンが継続する。個人的にはFD2シビックタイプRが最高だと思う。

トルクではターボエンジンには勝てないが、VTEC特有の高回転域で弾けるシャープな吹け上がりが、タイプRの醍醐味。4000rpmあたりで突然スイッチ が入ったかのように回転上昇を早めるVTEC特有のパワーフィールは、公道でもサーキットでもエキサイティングのひとこと。

カムが切り替わってからの 「クゥォーンン!」と伸びてゆくトップエンドこそ、タイプR乗りがもっとも昂揚する快感ゾーンだった。

燃費やエミッションなど内燃機関に対する締め付けが厳しい昨今、再びこういった過激なエンジンが登場する可能性は低くなったが、やっぱりクルマ好きは官能的なエンジンにココロ惹かれるもの。

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