インプレッサ信長をe-POWER秀吉が継ぐ!? ハッチバック戦国絵巻

インプレッサ信長をe-POWER秀吉が継ぐ!? ハッチバック戦国絵巻

不思議なタイトルの記事をクリックしていただき実にかたじけない。世はカローラスポーツの登場でまさにハッチバック戦国時代。

この企画は「現行/旧型のハッチバックが戦国武将になったらおもしろうのぅ」という発想から生まれたハッチバック国盗り物語である。

書き手は自動車業界随一の歴史好き、清水草一。天下人はいったいどのハッチバックか? いざ、戦国へ!!

文:清水草一/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年8月10日号
※年代設定などフィクションも含みます。ご了承ください


■WRX STI スペックC 信長が天下獲り目前!!

カローラスポーツの発売は、我が国におけるハッチバック覇権争いに、一石を投じることになろう。

まさに「ハッチバック国盗り物語」。果たしてカローラスポーツは、戦国の覇者となりうるのか? うむうむうむ……。

その活躍を記す前に、これまでの血みどろの戦国絵巻を、振り返ってみることにいたそうか。

今から十数年前。ハッチバック界は、まだ肉食系の武闘派が支配しておった。

天下統一の先頭を突っ走っておったのは、言わずと知れたインプレッサ(3代目)WRX STIスペックC織田信長である。

肉食系で運動性能を研ぎ澄ませたスペックCはまさに信長。軽量ガラス採用など最強のハッチバックだった

信長は、中小メーカー、スバルの生まれでありながら、まずは海道一の弓取り、シビック今川義元を討ち取って没落させ、返す刀でマーチ斎藤龍興を攻め滅ぼす。

いまやどちらも国内販売台数は微々たるものである。

その勢いのまま上洛を果たしたスペックC信長の前に立ちはだかったのは、第一にブレイドマスター武田信玄

このボディに3.5LのV6を積むブレイドマスター。まさに突撃イメージの強い信玄だ

信玄は、コンパクトなハッチバックボディに3.5L、V6エンジンを搭載するという豪胆さ。動かざること山の如しな重厚長大ぶりじゃ。恐ろしや恐ろしや。

越後の龍ことマツダスピードアクセラ上杉謙信も2.3Lターボの264psという、FFとしては限界ギリギリの大パワーで、トルクステアを発生させながら南下を図る。

スペックC信長とて、これを防ぐのには苦心惨憺した。さらには、ギャランフォルティススポーツバックラリーアート毛利輝元も、240psでランエボ譲りの攻めを展開。スペックC信長は、これら包囲網に苦しめられたものじゃ。

が、ブレイドマスター信玄は販売不振で消滅。マツダスピードアクセラ謙信も、マツダスピードそのものが消滅。

そして数年先、ギャランフォルティススポーツバックラリーアートは、ギャランフォルティススポーツバックもラリーアートも滅亡。涙が出るわい。

スペックC信長にとっては天祐そのもの。そのまま天下を盗るかに思えた。が、まさにその寸前。スペックC信長は思わぬ大どんでん返しで、あおのけに高転びに転んだ。

スバルのWRC撤退である。突如としてリーマンショック明智光秀に謀反されては、さすがのスペックC信長も是非もなし。人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり。

■城攻め燃費最強、e-POWER秀吉が遺志を継ぐ

偉大なる革命児であったスペックC信長の死は、戦国の世を一転させた。

もはや肉食の時代ではない。生き残り最大の武器は燃費! 城攻めでいえば、力攻めではなく包囲戦!  それを最も得意とした男こそ、ノートe-POWER羽柴秀吉である。

異端児、秀吉はノートe-POWER。ワンペダルで多くの人を魅了する「人たらし」なのも似ている!?

秀吉は、高松城を水攻めし、三木城を兵糧攻め、鳥取城を飢(かつ)え殺した、包囲戦の名人。ガソリン代をケチることで、相手を身動きできなくさせてしまう。あな恐ろしや。

といっても、秀吉の武器はケチケチだけではない。アクセルをひと踏みすればググッと加速し、アクセルを戻せばググッと減速。

これにひと踏み惚れする民衆が続出し、意外や意外、登録車販売台数日本一の座に輝き、スペックC信長の後継者となりおおせた。人たらしの天才よのう。

それでいて燃費がいいのだから、民は浮いたお金で黄金の茶室ならぬ黄金のアルファードをセカンドカーで乗り回すなど、好景気に沸いた。

ノートe-POWER秀吉は、その戦上手ぶりと経済力で、強敵を次々と倒した。

中国のギャランフォルティススポーツバックラリーアート毛利輝元は、不祥事も重なり大幅戦力ダウン。

毛利輝元は地味ではあるがそのパワーを無視するわけにはいかない。同じ境遇のギャランフォルティススポーツバックラリーアート。無念の消滅だ……

恭順の意を表してノートe-POWER傘下に入っていたが、果敢に歯向かったベリーサ長曾我部盛親は征伐され降伏。

マツダスピードアクセラ上杉謙信の死後、跡を継いでいたアクセラスポーツ上杉景勝も、豊臣秀吉に臣従を誓い、さらに、九州を統一せんと攻め上がっていた唯我独尊のディーゼルハッチ、デミオ島津義久も、頭を丸めるがごとくコロンとしたスタイリングで降伏した。

秀吉の快進撃を支えたのは、優秀なる武将たちだった。

子飼いの猛将、ヴィッツGRスポーツ福島正則は、ほとんど無意味なほどの重武装により、いかなる戦でも一番槍をものにする猪武者。

いっぽうのアクア石田三成は、その計算能力の高さで兵站を担当、勝利を支えたのである。

が、福島正則と石田三成は、あまりにも性格が違うがゆえにそりが合わず、後に関ケ原で激闘するに至る。歴史の皮肉じゃのう。

また、秀吉はイグニス千利休という、オシャレな内外装を持つ文化人や、南蛮人バテレン、バレーノといった異国人も付き従っていた。さすが人たらし。

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