■シンプルかつモダンさを追求したインテリア
インテリアにもイタリア文化が炸裂。2代目500のシンプルなコックピットを彷彿とさせる水平基調のダッシュボードは、懐かしさあふれる2本スポークデザインのステアリングに丸形のデジタルメーターを装備する。
最新モデルらしくワイドな10.25インチタッチスクリーンのインフォメーションシステムを与えられ、ボタンも最小限に。もともとボタンの少ない500だけに、その点は同等と言えるかもしれないが、シフトボタンは、よりシンプルなデザインに改められた。
シートデザインもお洒落で、上位グレードのシート地には、FIATロゴのモノグラム入りとなり、まるでイタリアンアパレルのよう。さらに室内側のドアトリムに2代目500のデザインが施されるなど遊び心にもあふれている。まさに小さなキャビンのなかには、イタリアの魅力が凝縮されているといっても過言ではない。
■節度のある電動パワートレーン
動力を供給する電気モーターは、フロントに搭載され、前輪のみを駆動。つまり、現行型500と同じ前輪駆動車となる。その性能は、最高出力87kW(118ps)、最大トルク220Nmを発揮。
ほかのEVが電気モーターの存在を知らしめるべく、高出力のものを搭載するケースも多いが、500eは扱いやすさと効率を重視し、適切なパワーに留めている。実にクレバーな判断だ。
キャビンフロア下に収まる駆動用リチウムイオン電池の容量は42kWhとし、航続距離は335km(WLTC)と短め。これは500eがシティコミューターとして設計されているため。充電方式は、200V普通充電に加え、CHAdeMO式急速充電にも対応するので、時には旅行の相棒として500eを連れ出すこともできる。
また、EVの接近を知らせる通知音も、イタリア人作曲家のニーノ・ロータ氏が手がけるなどこだわりを見せるのも、ユニーク。これも500eに関わるすべての人を楽しませたいと考えたFIATの心意気なのだろう。
■グレードは3タイプに集約
グレード構成は、全部で3タイプが導入される。エントリーとなる「POP」が450万円(※受注生産車)。さらにLEDライト、エコレザーシート、17インチアルミホイール、シートヒーターなどを装備をアップデートした上位グレード「Icon」が485万円。
「ICON」と装備レベルが同じで、キャンバストップのカブリオレとなる「OPEN」が495万円。現行のエンジン車の500と比べると高価だが、CEV補助金の対象となり、全グレードで65万円がサポートされる。
■まずはリース販売のみでスタート
販売方法でも新たな取り組みが行われ、リース契約のみに限定される。この決断の背景には、EV化による価格の上昇と厳しいEVの中古車価格がある。EVは、経過年数や使用環境により、バッテリーの劣化が異なる。
特に便利な急速充電は、バッテリーに負担がかかるため、劣化を早める原因にもなるのが悩みどころだ。もし劣化による駆動バッテリーの交換が必要となれば、多額の費用が発生する。このため、駆動用バッテリーのさまざまなデータや経験が少ない今は、EVの中古車の評価も発展段階にあり、まだ市場が成熟してはいないのだ。
そこでステランティスジャパンでは、500eをすべてリースとし、最後に同社が引き取ることで、5年後の残価保証することを決断。現時点では、5年後の残価とする30%をを差し引いて、リース料を算定しているという。
また、若い人にも500eを選んで欲しいという考えから、任意保険料まで含んだ新サブスク「FIAT ECO PLAN」も用意。このサブスクならば、500e popを選んだ場合、月々53900円と年2回の11万円のボーナス払いのみで所有することができるという。
リースの契約は5年間となるが、これはCEV補助金の対象が4年以上の保有と定められているのが理由だ。将来的には、顧客のニーズを考慮し、最適な期間やリース以外の販売方法も検討していくとしている。
ただ、初期導入台数も500台と絞られることから、ユーザーメリットを考慮したリース限定販売は、良心的な対応ともいえるだろう。
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