スーパーSUVは日本車の専売特許だった!! 超速SUV今昔物語

■ここでSUVをいま一度おさらいしよう!

 ここで、SUVについて2、3解説しておきたいことがある。SUVとはスポーツ・ユーティリティー・ヴィークルの頭文字を取ったもの。

 スポーツ用多目的車、と訳されている。SUVがどんな種類のクルマなのか? など、いまさら定義することができないほどにSUVには様々な種類のものが存在している。ラダーフレームをもったオフロードヴィークルで4輪駆動車のクロスカントリー車。

 セダンやコンパクトカーをベースに車高を上げ2輪駆動も4輪駆動もあるクロスオーバー車。この他にもピックアップトラックベース車など、とにかく、このようにSUVにはいろんな種類があるということを知っておいてもらいたい。

 ま、そんなことをいちいち気にすることもないのだが、近年のSUVを語るうえで、ひとつだけキモになることがある。オフローダーを原点とするラダーフレームを持つSUVと、セダンなどのモノコックボディをベースとするSUV(現代の主流)の2つのタイプがあることだ。

ジャガーF-PACEのアルミモノコックボディ。全体の80%がアルミニウム製

 ラダーフレームの場合は、ほぼSUV専用車として製造されているので問題はないのだが、もう一方のモノコックボディベースのSUVの場合。こちらが現代の主流SUVなのだが、セダンなどの車高の低いクルマをベースとするので、SUVにアレンジした場合、車高を上げなくてはならない。

 その車高アップはおおむね20〜30mm。ただ単にサスペンションアームを押し下げて車高を上げたのでは、前後のロールセンターを結んだロール軸の前後バランスが崩れてしまう。

 例えば、フロントにストラット式、リアにマルチリンク式といったように前後で形式の異なるサスペンション型式の場合、容認できないほどにバランスが変化する。

 そこで設計当初からセダン(車高の低いクルマ)とSUV(車高が高い)の両方の製作を念頭に置いたプラットフォーム(モノコックボディ)の設計図を描いているケースがほとんど。

 じゃあ、SUVにする時にサスペンションの取付位置を変更すればいいじゃないか? となるのだが、プラットフォームのサスペンション取付け位置は決まっていて変更できないのだ。

 つまり、最良の道はセダン専用プラットフォームであり、SUV専用のプラットフォーム。しかし、別々に作ることになり、コストがハネ上がる。

 そこで多くは同じプラットフォームを使いながら、スペーサーでボディ側の取り付け位置を変更したり、アップライト側(車輪側)の取り付け位置を変更するなどしてロール軸を適正化している。

 少し前までの国産SUVの場合、このような処置をせずそのまま車高を上げていた例が多かった。このようなSUVはあまりサスペンションを動かしたくないので、バネは硬くバンプストッピングラバーをぎっしり入れてロールを抑えていたのだ。前置きがかなり長くなってしまった。

 なぜこのような長い説明をしたかというと、ここ最近のSUVには硬いサスペンションのモデルとソフトなサスペンションのモデルの2通りがあるからだ。

 問題は硬いサスペンションのモデルで、単に車高を上げたのか? というと、そうでもなく、そのようなモデルの場合しっかりとロール軸を調整したうえで、あえて硬くしているモデルが多いから。

■アルファロメオ ステルヴィオ(2018年6月〜)

2.9L、V6ツインターボ:510ps/61.2kgm(クアドリフォリオ)

2017年9月、ニュルブルクリンク北コースで7分51秒7という、カイエンターボの記録を破ってSUV市販車最速タイムを叩き出したステルヴィオ・クワドリフォリオ。日本では2018年6月25日に発表。まずその第一弾としてファーストエディション (2L直4ターボ、280ps/40.8kgm)が689万円、限定400台が2018年7月21日から販売開始となった。写真のクアドリフォリオは510ps/61.2kgmの2.9L、V6ツインターボを搭載。0〜100km/hは3.8秒、最高速度は283km/h

 その代表的なモデルが最近日本にリリースされたアルファロメオ初のSUV、ステルヴィオだ。ステルヴィオのベースとなるのはジュリア。いわゆるスポーツセダンだ。

 このジュリアのサスペンションはけっこうソフト。乗り心地も良く、しかし、その気になってアクセルを踏み込むとかなり速く、ハンドリングもスポーティ。ハイエンドモデルのクアドリフォリオなどはBMW M3をもカモれるほどのパフォーマンスを持っている。

 現在、日本に導入されるステルヴィオは直4、 2Lターボのガソリンエンジンで280ps/40.8kgmの出力で、0〜100km/h加速は5.7秒。

 この数字を見たら、どこがスーパーSUVなの?と疑問に思うかもしれないが、ドライブモードをスポーツに設定すると排気音が勇ましくなり、実際に体感するフィーリングもかなり速い。

 ただし、今年中にジュリア同様510ps/61.2kgmのV6ツインターボエンジンを搭載したクアドリフォリオが導入される予定で、このモデルは間違いなく、それこそポルシェカイエンも真っ青のスーパーSUVのはず。

 そこで話の続きである、ステルヴィオのサスペンションは硬い。

 フロント/ダブルウィッシュボーン、リア/マルチリンクというストロークさせても良い型式なのに、非常に硬い。イタリアから来たエンジニアは、ライバルはポルシェ・マカンやBMW X3のM仕様と言い切った。

 つまりコーナリングでは絶対負けないクルマを造ったと。そこで限界まで攻め込んでみたわけだ。わかったことは、恐ろしく高いコーナリング限界。そして、その域に達するとそれなりにロールしている。

 今回のモデルは初期導入の台数限定でファーストエディションという中間モデル。つまり、最上級のステルヴィオ・クアドリフォリオはとんでもないスーパーSUVの可能性アリ。乞うご期待を。

次ページは : ■ポルシェカイエンターボ(2017年12月〜)

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

終売が報じられたマツダ6はこのまま終わるのか? 否!! 次期型は和製BMW3シリーズといえるような魅力度を増して帰ってくる!? 注目情報マシマシなベストカー4月26日号、発売中!