テスラは今後破滅するのか? それとも躍進するのか?

■カギは電池供給と自動運転技術

 以上のように、ジャーマン3と中国を中心に世界的な広がりをみせているEVブームにおいて、テスラが今後も持続的に成長するためにはどうすればいいのか?

 カギとなるのが、電池の安定供給と自動運転だ。

 まず、電池について考える。これまでEVの普及が進まなかった大きな理由に、EV関連部品の価格が高いことがあった。特にリチウムイオン電池の価格がなかなか下がらなかったため、テスラはいわゆるパソコン用と呼ばれる直径18㎜×長さ65㎜の規格型円筒型電池「18650」を大量に搭載する方法でコストという課題を乗り越えてきた。

 さらに、電池についてパナソニックとの専属契約を結び、パナソニックはネバダ州に世界最大のリチウムイオン電池工場「ギアファクトリー」を稼働させることで、電池コストを抑えることを決断した。また、「モデル3」からは「18650」より電池容量が大きな円筒型電池も実用化した。

 テスラとしては、これまで技術開発してきた円筒型電池を他社への供給、またはマスク氏が買収したソーラーパネル開発企業「ソーラーシティ」向けの定置型蓄電池などとして、事実上の標準化であるデファクトスタンダードを握りたいところだ。また、パナソニックとトヨタは角型電池の新規開発を発表しており、このアライアンスにテスラがどのように参加するのが注目される。

 次に、自動運転だ。テスラは一昨年まで、自動運転の画像認識技術をイスラエルのモービルアイと共同開発してきた。だが、フロリダ州で発生した「モデルS」による死亡事故に対して、モービルアイとの見解の違いが生じたため、2社は事業連携を解消した。そしてテスラが新たに選んだパートナーが、米半導体大手のエヌビディアだ。

2016年5月7日、米国フロリダ州で発生。テスラモーターズのEV、モデルSの顧客が自動運転モードで走行中、大型トレーラーに衝突する事故を起こし、ドライバーが死亡した。 事故は自動運転モードで走行中、大型トレーラーがモデルSの前方を横切る形で起きた

 エヌビディアといえば、アウディと組んで完全自動運転車のデモカーをメディア向けに走らせるなど、自動運転に対して積極的なアプローチを続けてきた企業だ。また、中国IT大手の百度(バイドゥ)とのパイプが太く、テスラとしてはエヌビディアを介して中国市場での商品競争力を高める狙いもある。

 テスラという企業は、どうしても創業者で経営最高責任者であるイーロン・マスク氏の存在が目立つ。彼のツイートは、トランプ大統領と同様に世界中から注目を浴びるほど、「テスラ=マスク氏」というイメージが強い。だが、テスラは決してマスク氏が独裁者のように事業運営しているわけではなく、財務、経理、開発の最前線で活躍するプロたちが合議制によって経営判断を下している。

 世界市場がEVバブルに沸く今こそ、テスラの経営判断の手腕が問われている。

■番外編/本当に出せるのか? テスラの新型ロードスター

 日本でのモデル3の納車が2019年以降を予定という気の長いテスラだが、早くも次のモデルが発表された。それがこの4人乗りスポーツカーのロードスター。

 最高速400㎞/hオーバー、0─100㎞/hは2.1秒、航続距離1000㎞、ホイールトルク1万Nmと、まるでバケモノのようなスペックだ。加速性能だけをみるとブガッティベイロンを凌ぐ性能。

 現在日本のテスラのサイトでも予約可能。ただし、上級モデルのファウンダーシリーズを予約する場合は、頭金としてクレジットカードでまず57万円を決済し、その後10日以内に2783万9000円を銀行に振り込まなければならない。この銀行振込をテスラが確認して初めて予約完了となる。

 う~ん、とりあえず金だけ先によこせという姿勢、どうなんでしょう。

2020年に売り出すというロードスター。駆動方式は4WD

新型テスラロードスターのインパネ。独特で未来的な形状のステアリング

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