新型ジープ・ラングラーを悪路で徹底試乗!【ジムニー、ベンツGクラスよりいいか?】 

■日本導入は2018年秋を予定!

新型には初のターボエンジン搭載のほかにもうひとつビッグニュースがある。今回は試乗できなかったが、サハラグレードに限ってパートタイム4WDではなくセンターデフを備えるフルタイム4WDが採用されるのだ。ラングラーの根幹にメスを入れる変更であり、JL型からは2種類のラングラーが存在すると思ったほうがよいレベル。ただしフルタイム4WD化によって利便性は間違いなく向上する。ラングラーに万能性を求める人には魅力的な選択肢になるかもしれない。

これまでそうだったように、今回もラングラーはモデルチェンジしてもラングラーだった。変わってほしくない部分は変わらず、燃費向上やインフォテインメント性能の向上など、現代的なアップデートが施された。価格など日本仕様の詳細が発表されるのは2018年秋頃。

当初導入されるのはハードトップのアンリミテッドのみ。エンジンは3.6LV6と2L直4ターボの両方をラインアップする。本国にはMTもあるし、ソフトトップやキャンバストップ付きハードトップなども設定されるが、それらの日本導入は検討中とのこと。多分いつかは入ってくると思う。

ルーフやドアを取り外すこともでき、フロントウインドウを前に倒して360度オープン状態にすることも可能。おそらく日本導入は厳しいだろう

■新型ラングラーと、ジムニー、ベンツGクラスを徹底比較

ボディサイズは全長4785×全幅1875×全高1868mm(4ドア)。2ドアの全長は4237mm。最低地上高はスタンダードおよびスポーツが246mm、サハラが254mm、ルビコンが274mmと驚異的。エンジンは270hp/40.8kgmの2L直4ターボと285hp/36.0kgmの3.6L、V6

今年はオフローダーの当たり年。本格的なオフローダーが相次いでモデルチェンジした。メルセデスベンツG550(およびAMG G63)、スズキ・ジムニー、そしてジープ・ラングラーアンリミテッド・サハラだ。

いずれも悪路走破において十分な実績と名声を得ているブランドで、同じ4WDでもその辺を走るチャラチャラとしたSUVとはヘビーデューティさの面で似て非なるものだ。これらの基本的な機構や特徴を見比べていこう。

まずは4WDシステムの違いから。Gクラスはセンターデフを備えるフルタイム4WDを採用する。センターデフロックが可能なほか、必要に応じてリアデフとフロントデフもロックすることができる。簡単に言えば、センターデフをロックすれば前後左右のどれか1輪が(空転して)駆動力を失っても残る3輪で走行することが可能。

2018年6月、日本で発表されたメルセデスベンツGクラス。ボディサイズは全長4817×全幅1931×全高1969mm。最低地上高は245mm。搭載されるエンジンは422ps/62.2kgmを発生する4LV8ツインターボ(M176型)のG550と、585ps/86.7kgmを発生する4LV8ツインターボ(M177型)を搭載する。価格はG550が1562万円、AMG G63が2035万円

センターに加えリアデフもロックすれば、前後1輪ずつ計2輪が駆動力を失っても残る2輪で走行が可能。さらにフロントデフもロックすれば、前後左右の4輪がまったく同じ回転数に固定され、3輪が駆動力を失ったとしても残る1輪で走行可能となる。

ただしフロントデフまでロックすると、ステアリングを切ってもほとんど曲がることができない。フロントデフロックはオフロードでの最終的な脱出手段だ。

いっぽうラングラーとジムニーはオンロードではRWDで走行し、必要に応じて手動で4WDに切り替える伝統的なパートタイム4WDを採用する。センターデフは備わらず、4WDにすると常にフルタイム4WD車のセンターデフロック状態となる。

トラクション能力は高いが、その状態で乾いたアスファルトなどミューの高い路面を走行中にステアリングを切ると、左右輪の回転差を吸収できず、タイトコーナーブレーキング現象が発生して車体がガクガクと振動する。(フルタイム4WD車のセンターデフをロック時も同じ)。

ラングラーは今回の国際試乗会で試乗したルビコンというグレードに限ってリアデフロック、フロントデフロックが備わるため、Gクラス同様2〜3輪が駆動力を失っても対処できる。

なお今回は試乗できなかったが、新型はサハラというグレードに限りセンターデフが備わるフルタイム4WDがラングラー史上初めて採用される。サハラにはリアデフとフロントデフのロックは備わらない。最も乗用車ライクなラングラーとなるはずだ。

ジムニーにもリアデフとフロントデフのロックは備わらない。したがって、意外にもノーマルのジムニーは前後1輪ずつ計2輪が駆動力を失うと走行不能となるのだ。

正確にはこれまでのジムニーはそうだった。ただし新型はABSシステムを利用し、空転した(駆動力を失った)車輪のみにブレーキをかけ、残る車輪に駆動力を配分するブレーキLSDトラクションコントロールが備わるため、前後1輪ずつ計2輪が駆動力を失っても、ある程度の脱出能力をもつ(リアデフロックしたクルマほどの走破性は望めない)。

Gクラス、ラングラー、ジムニーはいずれも副変速機をもち、通常走行に用いるハイレンジに比べ極端に低いギア比を生み出すローレンジを使うことができる。Gクラスやジムニーは2:1、ラングラーはルビコンが4:1、その他が2.7:1といった減速比をもつ。

つまりGクラスやジムニーはローを使うと2倍、ラングラールビコンは約4倍のトルクを路面に伝えることができる。低速で力強い走行が可能で、オフロードで威力を発揮する。

納車1年待ちといわれる新型ジムニー。ボディサイズは全長3395×全幅1475×全高1725mm。最低地上高は205mm。エンジンは64ps/9.8kgmの658cc直3ターボ。価格は145万8000〜174万4200円。シエラは全長3550×全幅1645×全高1730mmで、102ps/13.3kgmの1.5L直4を搭載。価格は176万400〜201万9600円

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