突如、マツダが10月11日、CX-5に2.5L、直4ガソリンターボエンジンを追加した。北米市場ではCX-9に搭載していたが、マツダが日本国内でガソリンターボ車をCX-5に追加した意義は大きい。
注目の2.5L、直4ガソリンターボエンジン、SKYACTIV-2.5Tは230ps/42.8kgmを発生。価格は25T LパッケージのFFが332万6400円、4WDが355万3200円。特別仕様車の25TエクスクルーシブモードはFFが365万400円、4WDが387万7200円。
このマツダCX-5の新型ターボは後日ゆっくり、しっかりチェックするとして、軽を除く乗用ターボエンジンの実力はいかほどのものか、見ていきたい!
メーカーごとに各ターボエンジンを国沢光宏氏、斎藤聡氏の2人に評価してもらった。前編としてトヨタ、日産、ホンダ、マツダを紹介していこう。
文/国沢光宏、斎藤聡、鈴木直也
写真/ベストカー編集部
初出/ベストカー2018年10月10日号
■トヨタ&レクサス/パワーユニットの戦略的には?
TEXT/国沢光宏 ※採点は100点満点
●1.2L、直4ターボ(国沢評価:50点)
●2L、直4ターボ(国沢評価:60点)
長所は直噴ターボを売ってみよう、という意思を持ち続けていること。やめちゃったら発展性ないです。短所は、とはいえ「いい部分」を探せない。
1・2LターボのほうはVWを強く意識したターボなのだろうけれど、商品的な魅力なし。ダウンサイジングターボの普及版パワーユニットとして開発されているのに、C-HRやカローラスポーツは「安さ」を実現できていない。
我が国だと「ターボ=スポーツユニット」みたいなイメージを売り手側も持っている? 価格設定を含め、むしろ特別なエンジンだという方向性を出してます。けれどターボだと思って乗ると、まったく元気のない実用エンジンでガックリ。このエンジンなら素直に1.8LくらいのNAを搭載したほうがいい。
2Lターボは少しパワーに振っているものの、やはり中途半端。ボルボの2Lターボのように、320㎰くらいで存在感を出すか、BMWのごとく190㎰程度に抑え、安いベーシックエンジンにするかです。
加えてエンジン特性はイマイチ。190㎰なら小さいタービン使って自然なトルク特性になるし、320㎰だとターボラグ消すために何らかの対応策が必要。
トヨタの2Lターボってターボラグあるのだけれど、かといって使えないほど酷くないため、高価なシステムを導入する気にもならない。
なぜこうなったのか? トヨタのパワーユニット戦略からして中途半端だからでしょう。現在開発中といわれる1.6Lの3気筒ターボは、全開バリバリのエンジンを目指してほしい。1.2Lターボも2Lターボも今より20%程度出力向上を目指せば、きっと面白さが出てくるんじゃなかろうか。
■日産/世界に誇れるターボエンジンがある!
TEXT/国沢光宏 ※採点は100点満点
●1.6L、直4ターボ(国沢評価:60点)
●2L、直4ターボ(国沢評価:55点)
●3.8L、V6ツインターボ(国沢評価:95点)
GT-Rの3.8L、V8ツインターボは世界的に見ても気合い入った素晴らしいエンジンだと思う。熟練のワーカーが丁寧に組んだエンジンというだけで価値あります。低い回転域からキッチリとトルク出ているし、ポート噴射ながらほぼ全域で理想空燃費燃焼させているあたりも凄い! しかも競技に出場して磨かれており、誉めるばかり。
が、今や環境性能が厳しい。スポーツエンジンといえどもアイドリングストップは必須です。ジュークの直噴1.6L、直4ターボは、国際格式の競技に使えるエンジン。発展性があります。
とはいえ、ジュークNISMO RSに搭載されている214㎰がこのパワーユニットから引き出せる限界だとすれば、大いに物足りない。やはり市販モデルで260㎰くらい出せないと使いモノになりません。
ベンツ製の2L、直4ターボは本場のダウンサイジングターボ。ターボというイメージを上手に消しており、2.7L級のNAエンジンのような使い勝手を持つ。
しかし、トヨタの2Lターボにも言えることながら、日本人ユーザーの期待値にまったく性能面で応えられていない。商品性としちゃ、ほぼなし。なぜスカイラインに搭載したのか、いまだにまったくのナゾである。
現時点で日産のターボ戦略は終了していると考えていいんじゃなかろうか。新しいターボエンジン作る計画なしということ。
GT-Rのみ絶版になるまで搭載されるだろうけれど、ジュークについては、新型への搭載計画もなさそう。スカイラインもこれだけ不人気だと次期型への採用はなしかと。北米で販売している3L、V6ツインターボなんて日本製エンジンなのに、なぜ入れないのか、不思議に思えてならないのだが……。
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