■トヨタカローラスポーツ1.2G 222万4800円(6速iMT)/83点
●1.2L、直4ターボ:116ps/18.9kgm、車重:1300kg
TNGAプラットフォーム採用で評価の高い新型カローラスポーツだが、1.2L、直4ターボの投入でホットハッチとしてのキャラクターも強化されている。
この1.2L直噴ターボは、トヨタらしくソツのないセッティングで、超フラットトルクの実用性重視ユニットなのだが、1400〜4000rpmで発揮される18.9kgmというトルクは強力。
できれば6速iMTを選びたいところだが、CVTでもかなりメリハリのあるドライバビリティが堪能でき る。
この新しいエンジン以上に印象的なのは、シャシー性能の大きな進化だ。緊急回避などで大きなヨーモーメントが発生した時のリアサスのしっかりした踏ん張り。コーナリング中に大きな段差を通過したときのショックのいなし。
そして、コーナー立ち上がりで加速してゆく時のトラクショ ンのかかり方。トヨタのコンパクトカーでこれまで不満と思ってきた部分が、ことごとく大きく改善されている。
やはり、エンジンの魅力を生かすも殺すもシャシー次第。カローラスポーツに搭載されたことで、ようやく新しい1.2Lターボの魅力が輝き始めたという印象ですね。
■トヨタヴィッツGRスポーツGR 229万2840円(5速MT)/83点
●1.5L、直4:109ps/13.9kgm、車重:1050kg
トヨタのスポーツブランドであるGR/GR SPORTは、バリエーションが多彩でややこしいのだが、ヴィッツでおすすめなのは中間グレードのGRだろう。
ボディ補強、専用サス、専用EPS、ザックスのダンパーや17インチタイヤなど、スポーツ志向のユーザーが「欲しい」と思える装備を網羅。エンジンこそノーマルだが走りのキャラはかなりスポーティに味付けされている。
カタログスペックは1.5Lで109ps/13.9kgmだから、パフォーマンスを引き出そうと思ったら5速MTを選ぶべきなのだろうが、むしろ印象的なのはCVTがノーマルより大幅に改善されていることだ。
10速マニュアルモードが設定されたCVTは、マニュアル操作をしてみると「これがCVT?」とビックリのキレ味鋭いシフトフィール。ノーマルエンジンと CVTの組み合わせなんてたかが知れてるだろうと侮っていたのだが、いい意味で予想を大きく裏切るダイレクトな走りが楽しめる。
ザックスのダンパーで固めた足もなかなかで、激しい走りにもバネ上に安定感があるし、路面を粘り強くとらえるダンピング性能も秀逸。失礼ながら「これがヴィッツ?」と驚くほどの水準にある。
まさに、「トヨタもヤレばできるんじゃん!」という思いを強くいたしました。
■日産ノートNISMO S 232万8480円(5速MT)/ 80点
●1.6L、直4:140ps/16.6kgm、車重:1080kg
ノートはe‐POWERが評判だけれどガソリンエンジンのNISMOもおもしろい。98ps/14.5kgmの1.2Lスーパーチャージャーを搭載したノートNISMOもなかなか捨てがたいが、とりわけ専用チューンの1.6L、4気筒を搭載したノートNISMO Sの存在が際立っている。
そもそも、NISMOのようなスポーツスペシャリストに期待されるのは、日産本体が作れないクルマを作ること。ありがちなのは内外装のドレスアップ車だ が、それだけじゃ物足りない。
標準モデルには存在しないエンジン/ミッションを用意するとか、とてもメーカーのラインでは造り込めないボディ補強を実施するとか、そこまでやってこそのNISMOだと思うわけだ。
そういう意味では、マーチNISMO Sと並んでノートNISMO Sは「NISMO頑張ってるなぁ!」と応援したくなる存在だ。
マーチNISMO SよりさらにパワフルなHR16DEは、140ps/16.6kgmを発揮。標準の1.2L、3気筒より4割以上パワフルで、1080kgのボディを軽々と走らせる。
ポイントは最近のダウンサイズターボと違って古典的なNA高回転型というところ。7000rpm近くまで回るエンジンを5速MTを駆使して操るなんて、もはや古典を通り越して伝統芸能に近いくらい希少なドライビング体験なのだ。
ハンドリングについても、走らせるとけっこうバタバタしたところが残ってるし、ハンドリングもかなり尖ってる。でも、このクルマは敢えて「そこがイイ!」と評価すべき。ちょっとくらい荒削りでも元気なほうがおもしろい。そこがノートNISMO Sの魅力なんですね。
コメント
コメントの使い方