■日産マーチNISMO S 184万2480円(5速MT)/78点
●1.5L、直4:116ps/15.9kgm、車重:1050kg
現行マーチはタイ工場で生産される輸入車。このクルマが企画された当時、日本は円高不況に苦しんでいたから生産が海外移転するのも無理はないが、やはり日本市場で勝負するには商品力も品質もイマイチ。先代ほどヒットせず、販売ランキング下位に低迷している。
ところが、そういう日の当たらないクルマにもNISMO Sなんていう本格スポーツバージョンを用意するのが日産のおもしろいところ。
標準が1.2L、3気筒CVTという定番エコカーパワートレーンなのに対し、わざわざ1.5L、4気筒5速MTを設定。専用セッティングのサスはもちろん、しっかりとボディ補強やブレース追加までして走りを追求している。
こうして作られたマーチNISMO Sはまさに箱根のワインディングに特化したかのようにジャストフィットだ。
エンジンは輸出仕様を転用したものだから、それほど尖った特性のスポーツユニットではないが、5速MTを駆使して116psの限られたパワーを効率よく伝える作業だけでもエキサイティング。
やや古典的なセッティングの足回りも、バンピーな路面では暴れがちになるものの、むしろジャジャ馬を乗りこなすような感覚がおもしろい。
昔はこういうやんちゃなコンパクトカーがたくさんあったが、いまやそれが希少種。少量生産ながらそういうクルマを仕立てられたのは、NISMOという組織とブランドがあればこそで、そこにこのクルマの存在意義があると思います。
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