人間は想定していた以上の出来事にぶつかると、しばし思考停止に陥る。それを「目が点になる」なんてことわざで表現する。
2018年のクルマ界にも驚きというか唖然というか「なんでそうなっちゃったのー?」というニュースは残念ながら少なくない。
新車買っても「納期が分かりません」なんてことあっていいの!? 新型になったら700万円値上げって……。そのニュースの謎に迫ります。
文:渡辺陽一郎(一部編集部)/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年11月10日号
■国内販売台数、絶頂期1990年の67%に減少
クルマが売れない……。国内販売台数が最も多かった、バブル絶頂期の1990年は778万台を記録。ところが昨年は523万台で、27年前の約67%しか売れていない。
ひどい数値の想定はしていたが、これほど落ち込むとは。「はぁ〜(ため息)。目が点になりましたよ〜」という心境です。
1980年代の前半と同程度の販売実績だけど、今とは状況は違う。今と比べると、当時は車種数が大幅に少ない。ミニバンは日産プレーリーと三菱シャリオなどで、SUVもパジェロが登場した頃。
だから、1車種当たりの販売台数は今より多いということになる。例えばマークII、クラウン、スカイライン、セドリック+グロリア(フーガの前身)などの上級セダンが、1カ月平均で1万台以上売れていた。
今の月販平均1万台クラスはノートやアクアだから、販売総数が同程度でも当時のクルマの売れ方は景気がよかったワケ。
この先の販売ジリ貧を思えば、点になった目がほそ〜くなりそう。寂しい。
■10年超は当たり前!? 設計の古い日本車が多すぎる
モデルチェンジサイクルが極端に長い日本車が実に多い。現行エスティマは発売から12年、デリカD:5は11年、キューブは10年、フーガは9年、マーチ、エルグランド、ヴィッツは8年……など、長いこと次期型が出ていないモデルだらけ。
それはつまり、”設計が古いクルマたち”ということで、この状態には目が点ですよ。
この原因の筆頭は、メーカーが国内市場を軽く見るようになったこと。
日本国内の販売比率が20%以下になり、優先順位は後、おざなり状態となり、設計の古い車種が増えたというわけ。
原因の2つめはクルマのデザインや居住性が安定成長期に入り、古さを感じにくくなったこと。
エスティマやデリカD:5など、正直10年以上経過したクルマには見えないもの。が、フルモデルチェンジしないと、衝突安全性や安全装備の大幅な進化は望めない。
■2040年から内燃機関禁止が世界に広がる
昨年夏、フランスに続きイギリス政府も「2040年から内燃機関エンジン車の販売を禁止」という政策を発表。
つまり、ガソリン&ディーゼル車は売れない、ということ。コレを最初耳にした時、「本気ですか……」と編集担当は「えっ」と目が点になりましたよ。世界のクルマ好きも目が点になったはず。
地球環境のため、エコ推進という姿勢はわかるが、あと22年ですよ。長らく自動車業界、内燃機関エンジンに関わった企業はどうするんです?
が、この両国だけでなく、その発表後、オランダは2o25年からEVのみ販売、ノルウェーは2030年からEVとHVのみ販売、中国は将来的にEVとHVのみ販売……など、各国は次々と宣言。再び、目が点。(TEXT/編集部)
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