■ブレーキトラブルの前兆は?
ブレーキは使い続けていると、機能性能が低下していく。いきなりブレーキのフィーリングが変わることはあまりないため、トラブルに気付かずに乗り続けていることも多い。
けれども前述のように壊れたら一番ヤバいブレーキは当然、壊れる前にちょっとでも異常を感じたら点検整備してもらうに限る。トラブルの前兆は振動と異音、踏み応えや利き具合の変化に現れる。ブレーキが冷えた状態でも、温まった状態でも、これまでとは違うと違和感を感じたら、プロの診断を仰ぐべきなのだ。
また異常が無くてもブレーキには、定期的な点検が必要だ。それは構成部品に経年劣化が大きいブレーキフルードが含まれているからだ。
ブレーキフルードは化学的に安定した素材で、極低温でも凍結せず高温下でも沸騰しないことにより、幅広い環境下で制動力を発揮できるようになっている。
しかし吸湿性があり、作動により温度上昇と冷却を繰り返ることで劣化するため、定期的に交換することが求められるのだ。
水分を吸収しても、急にブレーキが利かなくなる訳ではないが、ペダルタッチがフワフワとして踏み込む量が増えてしまう。
さらに山道などでブレーキを多用することになると、水分が蒸発して急にブレーキが利かなくなるベーパーロックを引き起こす危険性が高まる。
フルードを交換するとペダルタッチがしっかりとして、よりダイレクト感を感じられるようになる。ペダルフィーリングにこだわるオーナーには毎年、そうでないオーナーにも2年に1度はフルードを交換することをお勧めしたい。
■キーキー鳴ったら交換時期、放置するのは厳禁
もちろんフルード以外もブレーキの各部は作動することで摩耗、消耗していく。代表的な部品はブレーキパッドだ。
交差点などで減速、停止する際にキーキー鳴っているクルマを見かけることはないだろうか。あれはブレーキパッドが交換目安を迎えて、薄い鉄板製のセンサー(ウェアインジケーター)がディスクローターに接触して音を発して交換時期を知らせているのだ。
それ以外にもパッドの内部に配線を仕込んで、パッドの摩耗により配線とローターが接触して通電することにより、摩耗限界を知らせるセンサーを採用しているクルマもある。
それ以外にもメンテナンスを怠るとブレーキ鳴きを起こすこともある。ブレーキを掛けた時に鳴くのは、ブレーキパッドが振動しているからで、キャリパーとの密着やローターとの接触が悪くなると起こりやすい。キャリパーの掃除やローターの研磨によって解消されることが多い。
ドラムブレーキのドラム内側にライニング(摩耗材)を押し付けて制動力を発生させる部品がブレーキシューだ。FF車のリアに採用されていることが多く、ブレーキパッドと比べると減りにくいが、車検毎の点検は必要だし、摩耗限界近くなっていれば交換する必要がある。
■ブレーキパッドは一般的な使い方では4年、車検2回分は使える
乗り方や走る環境によっても変わってくるが、摩耗材であるブレーキパッドやシューは4万〜5万km程度の耐久性を持っているから、一般的な使い方では4年、つまり車検2回分は使える。車検毎にパッド残量やブレーキフルードを点検し、この先1年以内に交換時期を迎えるのであれば同時に交換してしまった方が経済的だ。
というのもブレーキのメンテナンスは、車検毎にしっかりとしたディーラーや整備工場で車検整備と同時に行なってもらうのが、最も効率良く、結局はコスパのいい手段だからだ。車検整備とは別の機会に点検と整備を行なってもらうと、工賃がダブる。
ブレーキフルードやパッドの交換は、点検と同時であれば部品代+αで済むが、ディーラーで単独の整備を依頼すれば工賃だけで2、3万円(車格によってはさらに高額に)はかかるし、カー用品量販店などでも1.5~2万円の工賃がかかる。
最近の高級車はブレーキパッドの交換もディーラーの診断機を使って作業する必要があるので、車種によっては整備できる環境が限られることも増えてきた。
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