クルマの命綱! 知ってますかブレーキの異常を知らせる前兆と整備方法

■ブレーキホースの劣化も見逃すな!

100km/hで走るクルマが急ブレーキをかけると、0℃の水2Lが3秒で100℃に沸騰するほどの熱が放出される。ブレーキフルード(オイル)が通るブレーキホースもいかに大切かがわかるだろうか?

 また一般的には消耗品にはあたらないが、長年の使用で交換が必要な部品も出てくる。エンジンルームと室内の壁(バルクヘッド)に取り付けられたマスターシリンダーやEBS(電子制御ブレーキシステム)ユニットから、4輪へと制動力を伝えるのはブレーキパイプと呼ばれる細い金属製の管だ。

 しかしサスペンションによってブレーキは上下に動くし、前輪は操舵のためにブレーキキャリパーとシャーシとの位置関係ブレーキシステム)が変わる。

 それを調整するのがブレーキホースの役割だ。純正のブレーキホースは耐薬品性を備えたゴムに繊維を織り込んでブレーキの圧力に対して剛性を確保している。

 しかし経年劣化でゴムがヒビ割れ、柔軟性を失って剛性も低下する。それによってブレーキのタッチがフワフワとしたり、最悪の場合はフルードが漏れて制動力を失うことになりかねない。

 安い中古車を購入したら、このあたりまではしっかりとチェックして劣化していれば交換したほうが安心だ。高価なステンレスメッシュ製のホースでなくても、純正の新品であればブレーキ性能やフィールも充分に確保できる。お金をかけるなら定期的なフルード交換に費やすべきだ。

■ブレーキキャリパーの不具合を生じることはほとんどなくなった

R35GT-Rの純正ブレンボ製キャリパー

 ブレーキパッドをディスクローターに押し付けるブレーキキャリパーも、昔は定期的に分解整備が必要だったが、最近のクルマはパーツの精度も高いので10年10万kmくらいまで、不具合を生じることはほとんどなくなった。

 普通のクルマはキャリパーの片側にピストンをもち、キャリパー全体が動くことで左右のブレーキパッドで制動力を生じさせる。

 しかしキャリパーの動きが渋くなると、左右のブレーキパッドにかかる力に差が出て片減りしやすくなる。ディスクローターを交換するタイミングなどでキャリパー回りの清掃や潤滑をしておくといい。

■ブレーキマスターシリンダーも侮れない

足元のブレーキペダルを踏んだ力は、ブレーキブースター(倍力装置)で力を増し、上写真のマスターシリンダーによって液圧(油圧)に変換される。その圧力はブレーキオイル(ブレーキフルード)で満たされている配管を通って伝わり、車輪に装着されたブレーキに届く

 ブレーキペダルの踏力を、液圧に変えるのはマスターシリンダーという部品。この内部のピストンに使われているシールなども摩耗するが、シリンダー内壁の精度が向上したことで、10万kmくらいはフルード交換だけで問題なく走行できてしまうことが多くなった。

 ドラムブレーキの内部で、向かい合ったブレーキシューの間で突っ張り棒のように伸び縮みして、ドラムにシューを押し付けるのがホイールシリンダーの役割だ。内部にはオイル室があり、ペダルからの液圧によってオイル室が拡大することで両端のピストンが押し出されて伸びるのだ。

 このブレーキの作動によってブレーキフルード内の水分が上昇、ホイールシリンダーの内壁を腐食させて表面が虫食い状態になってしまうことがある。

 最悪の場合、フルードの液漏れを生じさせる。その時点で即、ブレーキが作動不能になることはないが、ブレーキフルードが徐々に流失してしまい、マスターシリンダーから空気がブレーキラインに入ってしまうと、即座にブレーキの機能は消失してしまう。

 そのためには、日常的にリザーバータンクでブレーキフルードの減り具合(ブレーキパッドが減ることでキャリパーのピストンが突き出てフルードの残量は減る)をチェックすることが必要だ。国産車はホイールシリンダーの耐久性が向上したが、輸入車のドラムブレーキではまだホイールシリンダーは要点検の部品だ。

次ページは : ■ジャダーが発生したらディスクローターを疑え!

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