■トヨタ/レクサスUX 2L、直4、M20A型
現状で北米/中国市場のカローラ系と、レクサスUXに搭載されている、いわゆるトヨタが開発した“Dynamic Force Engine”のひとつ、2L、直4ガソリン直噴のM20A型エンジンだ。
まだ採用が始まったばかりで、追って既存の1.8L/2Lの旧世代のZR型などのエンジンから置き換わっていくはずだ。
トヨタが開発した新世代パワートレーンは、エンジン9機種17バリエーションを展開予定とされ、前述のような熱効率向上の施策はほぼ網羅されている。
加工技術については、ピストンスカートの摺動面に鏡面加工を施したうえで表面には格子状の細かい溝を与えて、スカッフ(シリンダーの油膜が切れてピストンやシリンダーに引っかき傷が生じる現象)を防ぐ効果を得るなど、惜しむことなく最新技術が導入されている。
この2Lエンジンを含めた新世代ユニットで評価すべき点は、コスト削減と最新技術を広く素早く展開できるように設計段階から仕様を共通化するために、エンジンの“コモンアーキテクチャー”すなわち設計仕様の共通化と生産時のモジュール化を図っていることだ。
ということは、このエンジンのハイブリッド仕様であるM20A-FXSもコストや技術面で他のエンジンからの恩恵を受けたうえ次期プリウスに搭載される可能性もあるから、その時点でどこまで熟成されているかも注目されることになるだろう。
■ホンダ/欧州シビック 1L、直4VTECターボ
ホンダが「VTECターボ」として登場させた3種の直噴ガソリンターボ直4のうち、ここでは1.5LとタイプR用2Lエンジンではなく、すでに欧州シビックでは採用済みの排気量を落として高効率化を図った、いわゆるダウンサイジング1L、直4ユニットのVTECターボを推したい。
前述の1.5Lをボア系を共通としつつ、部品の約50%を新規に開発したとされる小排気量直噴ターボは、2系統の冷却水を設定して、低/高負荷で異なる温度管理を実施するなど、高効率化が図られた。
このエンジンの出来の良さを想像できるのはなんといっても、豊かなトルクにある。欧州や日本の市場で見られる、リッターカー用エンジンを俯瞰すると、最大トルクはおよそ15.3kgmが上限といえ、この点でこの1L、VTECターボエンジンは20.4kgmとクラストップレベルを誇る低中速トルクを実現、旧世代の1.8L、VTEC直4並みのパワーを得たとしている。
最高出力は129ps、最大トルクは20.4kgm(6速MT)、CVTは18.4kgm。CVT仕様のNEDC混合燃費は60.1 mpg(約21km/L)とされている。
今のところ、欧州市場のジャズ(日本名:フィット)への採用拡大が見込まれている1Lユニットだが、S660の小型車として仕立てられた「S1000」の登場を望みたいところだ。
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