インサイトは2度目の“復活” なぜ同じ車名使う? 車名復活の理由と背景

 あの車名がまた復活? そう思った方も多いハズ。ホンダの新型インサイトが12月13日に発表。入口価格326万1600円のハイブリッド車として明日14日から発売開始だ。「インサイト」は、ホンダがハイブリッド車に使ってきた車名。今回の新型で2度目の復活となる。

 実は、このインサイトに限らず、一度途絶えた後に再び復活する車名は多い。その背景には大きく分けて2つの理由がある。

 直近では正式発表を控えるトヨタの「スープラ」もそのひとつ。なかには違う乗り物の車名がクルマの車名として“復活”したケースもある!

文:永田恵一
写真:編集部、Honda、TOYOTA、SUZUKI


車名復活の背景にある「2つの理由」

新型インサイトの全長×全幅×全高は4675×1820×1410mmと、シビックとほぼ同等のサイズ感。JC08モード燃費は34.2km/Lとプリウスには劣るものの、カムリ以上のカタログ燃費をマークしている

 新型車がかつてあった車名を使う理由は、大きくわけて2つある。

 1つ目は商標権の関係だ。クルマを含め商品名の決定は大きな仕事であり、そのうえ候補の商品名が商標登録されていると、使用を断念するか、どうしても使いたければ大きなお金を使って名前を譲ってもらう必要がある。

 そうした手間を考えると、「ならば自社で商標登録している名前を新型車に命名しよう」となる事情もよくわかる。

 もう1つ、PR面に関わる理由もある。新型車が量販車の場合に多いのだが、新しい商品名の訴求はパブリシティ面で、通常のフルモデルチェンジ以上に大きな労力が必要になるという事情もある。

 それが、かつてあった商品名を使うと、例えば「インサイトってクルマ、昔あったね。今度出たインサイトはこんな風になったんだ」と消費者の認識も早く、比較的少ない労力かつ短時間で訴求につながるメリットも生まれる。

インサイトとスープラは同じパターンの車名復活

新型インサイト(上)と1996年登場の初代(右)、2009年登場の2代目インサイト(左)。初代、2代目は一旦絶版となっており、インサイトの車名が復活するのはこれで2度目

 車名の復活には、いくつかのパターンがある。ひとつ目は、かつて存在したモデルに近いコンセプトを持つ新車に、以前と同じ車名を付けるパターンだ。新型インサイトや間もなく正式発表となるスープラなども、これに該当する。

■ホンダ インサイト

 1999年に登場した初代インサイトは、アルミボディや樹脂の外装パーツを使った軽量化や空気抵抗の徹底的な低減に加え2人乗りとすることで「簡易なハイブリッドで燃費を追求する」という実験車のような市販車だった。初期モデルの210万円という価格も内容を考えれば高くなかったが、普遍性に欠けたこともあり販売は不振。2006年に姿を消した。

 その後インサイトは、ホンダが2009年2月にコンパクトでリーズナブルな5ナンバーハイブリッド車をデビューさせる際に復活。発売当初は月間販売台数でトップに立つほどの人気を集めた。

 しかし、2代目インサイトに刺激された3代目プリウスが、買い得感のある価格設定で登場すると販売台数は急落、2014年に絶版となった。

 そして、2度目の復活となった新型インサイト(3代目)は、主に北米で販売されるシビックのハイブリッド版的な存在に。クラリティPHEVのバッテリー搭載量を減らした形となる1.5L、2モーターハイブリッドを搭載する。

 新型インサイトは、現行プリウスの直接的なライバル車として見ると、装備差を考慮しても326万1600円~という価格は少々割高な点が気になる。

2019年初頭に正式発表を控える新型スープラ。4代目のA80型が2002年に生産終了となって以来の車名復活だ

■トヨタ スープラ

 スープラは、6気筒エンジンを搭載したセリカの上級車「セリカXX」の輸出名として使われていた車名。日本では1986年登場の初代モデルから使われている。

 初代、2代目モデル(1993年登場)ともにスポーツカーというよりはアメリカンなGTカーというキャラクターが強く、快適性やドリフトコントロール性の高さに加え、チューニングを施した際の伸び代の大きさといった魅力を持っており、ファンも多かった。だが、2002年に改正された排ガス規制に対応せず、残念ながら絶版となった。

 新型となる3代目スープラは「FR+直6エンジン」というスープラのDNAを継承した、直接的な形で2019年に復活する。

 3代目スープラは既報の通りBMW Z4と共通のパワートレーンやプラットホームを使うこともあり、2シーターのピュアスポーツカーというキャラを持ち、そのエンジンバリエーションや熟成も非常に楽しみだ。

2019年に日本再導入予定の新型RAV4。グローバルでは初代の登場以来、販売が継続されているが、日本においては、この新型でRAV4の名が復活することになる

■トヨタ RAV4

 1994年登場の初代RAV4は、現在主流となっている「乗用車ベースSUV」の先駆け。登場当初は3ドアのみだったが、翌1995年に5ドアを追加。以降ホンダのCR-Vと同様のミドルSUVとして世界戦略車に成長した。

 しかし、日本市場では2005年登場の3代目モデルでの肥大化やハリアーがリニューアルされたこともあり販売は低迷。2016年に絶版となった。

 だが、昨今の日本におけるSUV人気も手伝い、2018年に海外で登場した新型RAV4が、日本でも2019年春に導入され、復活する。

違うジャンルで車名復活を果たした例は?

2017年に発売された三菱のSUV、エクリプスクロス。三菱はかつて北米向けのクーペを「エクリプス」の車名で販売していた

 一方で、以前と異なるジャンル・コンセプトのクルマに、かつて存在した車名を活用して復活させているパターンもある。

■三菱 エクリプス→エクリプスクロス

 初代エクリプスは、今でも米国では一定の需要がある比較的手軽な2ドアクーペとして、日本では1990年に登場した。

 1995年登場の2代目モデル、日本にはオープンモデルが2004年に導入された3代目モデルともに米国製で、2005年登場の4代目モデルを最後に2012年に一度絶版となった。

 2018年に復活したエクリプスクロスはコンパクトSUVではあるが、クーペルックを持つ点で4代目までのエクリプスと共通することもあり、エクリプスの名を引き継いだ。エクリプスクロスは三菱らしい堅実なクルマで、今後はPHEVの追加なども期待される。

■三菱 ミラージュ

 ミラージュは1978年の初代モデル登場以来、当時のゴルフやカローラのライバルとして本来の実用車からモータースポーツのベース車両まで、幅広い層に愛されたモデルだったが、1995年登場の5代目モデルを最後に2000年で一度絶版となった。

 その後、2012年に三菱が現在のマーチクラスの小型車セグメントへモデルを投入する際に、「ミラージュ」の名が復活した。

なかには違う乗り物で車名復活を果たした例も!

“ハスラー”の愛称で親しまれたスズキの二輪、TSシリーズ(左)。その車名を活用する形となったのが軽自動車のハスラーだ

 また、なかには違う乗りもので車名が復活するパターンもある。これは二輪と四輪をともに作っているホンダとスズキに多い。

■ホンダ ジェイド

 ジェイドはもともと250ccエンジン搭載のネイキッドに分類されるバイクで1991年に登場し、1996年にホーネットを後継車にする形で姿を消した。

 ジェイドが四輪車の車名として復活したのは2013年のことで、まず中国向けが登場。日本でも2015年に登場したが、価格の高さや3列目の狭さなどを理由に販売は低迷。

 2018年のマイナーチェンジで価格を下げた5人乗りの2列シート車を追加するなどのテコ入れを行い、販売も回復しつつある。

■スズキ ハスラー

 ハスラーは、1969年から2000年頃までスズキでオフロードバイクに使われた車名だった。四輪では2013年に登場した軽クロスオーバーに「ハスラーの名前が似合う」ということもあり、命名され復活。

 “クルマのハスラー”はスタイルの良さや多用途に使える便利さを理由に、特に発売当初は長い納車待ちになるほどの人気車となり、現在も根強い人気を保っている。

◆  ◆  ◆

 車名の復活は、「名前や伝統を大切にしない」とか「継続性がない」という捉え方ができる反面、「あの名前がまた!」という好意的な捉え方もできる。

 それが本当にいいことなのか、悪いことなのか。ユーザーからの反響や人気が、その答えとなるだろう。

【主な車名の復活例】

・トヨタ:スープラ、RAV4
・日産:シーマ、クリッパー
・ホンダ:インサイト、ジェイド(四輪として)、NSX、インテグラ(二輪として)、CR-V、バモス、ライフ、Z、クロスロード
・三菱:エクリプス(クロス)、RVR、コルト、ギャラン、トッポ、プラウディア、ディグニティ
・スズキ:ハスラー(四輪として)

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