■Z4のハンドリングは初期のS2000を彷彿
Z4のハンドリングはとにかく曖昧なところが少なくタイトに締め上げられていて、慣れるまでは高速道路を真っ直ぐ走ること自体もちょっと気遣うほどに応答もクイックだ。思わず思い出したのは初期のS2000……といえば、そのピリッとした印象が伝わるだろうか。
MRよりもパッケージ面での不安定要素が少ないFRゆえに突き詰められる敏捷性、それに乗じただろう1.6以下のホイールベース/トレッド比、ロックtoロック2.1回転というステアリングレシオなどの数字をみるに、BMWは確信犯でZ4を曲がりまくるセットアップにもってきたということが理解できる。
先代以前のZ4はドライバーを後軸寄りに座らせてロングノーズの動きも楽しませながら走らせるという詩的な一面も持っていたが、新型Z4はそのパッケージを大きく変えてドライバーを軸に回るように曲がるといったモーメントに変更されている。
これには賛否もあるだろうが、やはり感じられるのはZ4が本気のスポーツカーとして一本立ちしようという意気込みだ。
Z4のコーナリングはすこぶるシャープだ。限界域では盤石なロードホールディング性を感じることも出来るが、その粘りが足枷にはなっていない。
タイトなコーナーが連続するワインディングでは可変ギアレシオのステアリングによって僅かな操作量でもゲインが高まり、文字通り水を得た魚のごとく、グイグイと車体が向きを変えていく。もちろん3L、直6ツインパワーターボが発する340psはまったく身に余ることなく、きっちりと路面に伝え抜ける。
オープンカーだからといって剛性不足はまったく感じられず、路面からのフィードバックが鮮やかに伝わってくるあたりはいかにもBMWらしい。
試乗の後でニュルブルクリンク北コースのタイムは同等のエンジンを積んだM2を上回る7分55秒台という話を聞いたが、さもありなんと思った。ともあれそれほどに運動性能は高い。
■BMW Z4の主要スペック
全長4324×全幅1864×全高1304mm
ホイールベース2470mm
●M40i/3L、直6ターボ
340ps/5000〜6500rpm
51.0kgm/1600〜4500rpm
車両重量/1610kg
0〜100km/h、4.6秒
●sDrive30i/2L、直4ターボ
258ps/5000〜6500rpm
40.8kgm/1550〜4400rpm
車両重量/1415kg
0〜100km/h、5.4秒
●sDrive20i/2L、直4ターボ
197ps/4500〜6500rpm
32.6kgm/1450〜4000rpm
車両重量/1405kg
0〜100km/h、6.6秒
■スープラと兄弟車Z4とは何が違うのか?
■新型スープラの予想スペック
全長4380×全幅1860×全高1295mm
ホイールベース/2470mm
3L、直6ターボ、350ps/50.0kgm
8速AT、価格は700万円前後から
■新型スープラのこれまで判明した内容
・エンジンは3L、直6ターボと2L、直4ターボ
・86より重心高が低い
・ボディ剛性はLFA以上、86の約2.5倍
・前後重量配分50:50
・最大トルク発生回転数1600rpm~
・今回のプロトタイプにはアダプティブバリアブルサスペンションを装着
・アクティブディファレンシャル(2WAY LSD 可変ロック率0〜100%)
快晴の下、オープンロードを気持ちよく駆け巡ったZ4の試乗とはうって変わって、スープラの試乗は超ヘビーウェットのサーキットで行うこととなった。
それゆえ、僕自身もまだまだ掴みきれないところはたくさんある。でもそんな条件下でみても、スープラにはZ4と異なる幾つかのキャラクターがみてとれたように思う。
まず、スープラはZ4に比べるとロールやバウンドの抑え込みがマイルドで姿勢変化を許容しやすい設定になっているように伺えた。
現状ではスープラの詳細はわからないが、トヨタがチューニングした足回りの設定が、もし上屋を積極的に動かす方向であるならば、開発エンジニアたちの言っていたストリートでこそ真価を発揮するという言葉とも符合する。
現状はわずかに感じる程度というその差も、ドライ路面ならより明確に違いが現れるのかもしれない。 ステアリングのギア比やブレーキのタッチ及び制動力、8速ATの変速スピードやリンケージのダイレクト感といったところはZ4との差を感じない。
コメント
コメントの使い方