■親父の仕事、ナイスでしたね(笑)
乗ってみて個人的に注文をつけたいと思ったのは、「ダウンフォースがもう少し効いていれば」ということです。
もちろん、いいクルマに仕上がっているのは間違いないのですけど、さらに上を目指すのならば、しっかりと高速走行でスタビリティを上げられる要素があるクルマかなと思います。例えばリアウイングを装着するのもありでしょう。
エンジン本体はまだいじってないので、インタークーラーやラジエター、エアクリーナーなどいじれる余地は70%くらいあると思います。
ほとんどの人に対してちょうどいいレベルの仕上がりになっていると思います。マージンは充分に取っていますから。
標準車を100点とした場合、TC380は150点だと思います。総合的に乗りやすく、しかも速い。面白いクルマだと思います。粗探ししようと思ったのに、オヤジの仕事、ナイスでしたね(笑)。
■3車のなかで、TC380が一番!
比較したシビックタイプRは、誰が乗っても速く走れて楽しめるモデルで、乗った時に「これがタイプRなんだ」とわかるクルマでした。
タイプRってVTECですよね。そのよさがよく出ているエンジンで、その音が室内に入ってくるのが楽しかったです。電子制御が多めなのも特徴で、クルマに乗らされている感があります。トルク感はTC380より上かな。EP82スターレットGTに似たターボのフィールでしたね。
メガーヌRSは欧州車ならではの味つけで、ハンドルを切っていくと限界を超えた時にオーバーステア気味になり、タックインする傾向が強いクルマでした。
一番いいと思ったのはパドルシフトのつながりが自然で、触った瞬間にギアが変速することです。ラグがなく、スポーティに走れます。これは先代の6MTからDCTに変わったことで効率のよさが出ているかもしれませんね。
感覚的にゲームをやっている感覚に近いですね。ただ、レースモードにするとめちゃくちゃ足が硬くて、道の上を自分で走っているような感じを受けました。
ディーラー発の史上最強のSTIコンプリートカーに、ニュルブルクリンクラップタイム最速を競い合うFFスポーツの2台。
3台乗り比べてみて、親父のことを考えない忖度なしで採点しました。結果はTC380が150点、ルノーメガーヌRSが130点、シビックタイプRが120点になりました。
でも一番気になったのは、実はタイプRなんです(スミマセン)……。
■TC380を開発した富士スバル開発陣の狙いは?
聞き手/永田恵一
最後にTC380を監修した新井敏弘選手と、TC380を開発した富士スバル開発陣に話を伺った。
まず、TC380の開発を監修した新井敏弘氏選手は「ラリーを通じて長い付き合いをしているEJ20エンジンの持つ、市販状態では封印されている本当のポテンシャルを、リスクなく味わってもらいたいというのがTC380に対する私の想いです」。
TC380をデビューにこぎ着けた富士スバルの開発陣に話を伺った。まずはTC380の開発に着手したきっかけを聞いた。
「今年の夏に協力工場さんと話をした際に『スバルが完成検査問題で苦しい立場にいる今こそ、御社にスバルや群馬県を元気づける何か話題性のあるクルマを作ってほしい』と言われました。
この話を社に持ち帰ると、弊社の社長も密かに『カスタマイズカーを作ってみたかった』という想いを持っており、お付き合いのある新井敏弘選手にご相談したところ『どうせやるなら普通の人にはなかなか敷居の高い過給機チューンはどうですか。過給機チューンは相当のノウハウが必要なので、スタッフも楽しいだろうし、やりがいもあると思いますよ』と提案され、開発を始めました」(サービス・部品川田雅史部長)。
TC380は過給機チューンがメインとなるカスタマイズカーとなり、このコンセプトについては「新井選手ともご相談したのですが、足回りやエアロパーツなどは比較的間口の広いカスタマイズなので、そのあたりはお客さんの好みに任せて、我々がディーラーとしてすべきなのは『しっかりとした過給機チューンという世界をお客さんに提案すること』と判断しました」(川田氏)。
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