売り上げ上昇を狙いコンサバ顔に変わったケースも
■スバル R2/2003-2010年
2代目インプレッサとSAIは、フロントマスクを大きく変えるマイナーチェンジで、売れ行きを伸ばした。この時には価格の割安なグレードなども追加したから、フロントマスクだけで売れ行きが伸びたわけではないが、相乗効果のひとつには含まれる。
しかし、フロントマスクを大幅に変えた車種のすべてで、こういった効果が得られたわけではない。R2は2003年に発売されて、2005年にはフロントマスクを大幅に変えた。
従来は航空機をモチーフにした“スプレッドウイングスグリル”だったが、マイナーチェンジ後は一般的な形状になった。
しかし、販売台数は下降している。軽自動車は1998年に規格変更を行い、この後の売れ筋は、全高が1600mm以上のハイルーフモデルになったからだ。R2は天井の低いボディで、後席や荷室も狭めだから流行からはずれ、フロントマスクを変えても販売台数は伸び悩んだ。
そこでスバルはプレオの後継車種として、背の高いステラを2006年に発売。ステラは堅調に売れてスバルの軽自動車部門を支えた。
■三菱 ミラージュディンゴ/1999-2002年
個性的なフロントマスクを備えたクルマは数多いが、その中でも特に注目されるのがディンゴだ。縦長にランプを配置したフロントマスクは、柔和というよりもボンヤリした表情で、きわめて個性的だった。
デザインを進める段階では横長のヘッドランプも検討され、近年のエアロパーツを装着した“カスタム系”の軽自動車を連想させる造形もあった。それでも個性を重視して、ボリューム感のある表情に見せるため、縦長に見えるヘッドランプを採用している。しかしこれが失敗した。
発売は1999年で、2001年になると、フロントマスクを大幅に変更。縦長だったヘッドランプを横長に変更している。ただしデザインは平凡で、魅力を増したとはいえなかった。
また、この時期の三菱は、リコール隠しの問題などで社会的な信用を失墜させており、その意味でも売れ行きを伸ばせなかった。
地味顔から派手顔で起死回生を狙ったスズキの現行車
■スズキ SX4/2013年-現在
一般的にフロントマスクの変更は、評判が悪いために行われる。ところが現行SX4 Sクロスは、変更して見栄えがさらに悪くなった珍しいパターンだ。
2015年に現行型が発売された時のフロントマスクは、地味ではあったがボディサイドとの造形バランスも良く、欧州のベーシックカーという雰囲気があった。
ところが2017年の変更では、フロントマスクの中央にメッキグリルを装着する。前歯をムキ出したような形状だ。
しかも、プラットフォームを共通化したエスクードに採用される緊急自動ブレーキ、サイド&カーテンエアバッグ、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、アイドリングストップなどが改良後も装着されず、価格は割高だ。従って売れ行きも当然に伸び悩んでいる。
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