2018年12月17日に行われたマイナーチェンジでプリウスの「顔」が激変! フロントマスクとリヤビューのデザインが大幅に変わった。従来型の外観が不評で、販売面でも悪影響を与えていると考えたからだ。
一般的にフルモデルチェンジの合間に行われるマイナーチェンジにおいて、外観の変更は小規模に留まるケースが多い。それゆえプリウスの改良も話題を呼んだのだが、実はプリウス以上にマイナーチェンジで「顔」を大幅に変えた車は多数存在する。
なかには1度ならず2度も顔を大きく変えたモデル、個性的な顔つきをやめコンサバなフロントマスクに変更されたモデル、そして逆に少々地味なデザインから派手顔にガラリと変わったモデル等さまざま。背景にはそれぞれの「狙い」がある。
文:渡辺陽一郎
写真:編集部、SUBARU、MITSUBISHI
“インプ”は2度変化!! 効果感じられた顔激変の改良は?
■スバル インプレッサ(2代目)/2000-2007年
全車に共通するのは、発売当初の売れ行きが伸び悩み、その原因のひとつにフロントマスクが挙げられることだ。実際には複数の原因が相まって不人気になるが、顔を変えると車作りが変化したことを容易にアピールできる。
そしてフロントマスクのベースになったデザインスケッチ(アイデア段階)を見ると、意外に格好良いことが多い。つまり、デザイン案が商品化される段階で格好悪くなり、不評を買っているわけだ。
この傾向が顕著なのは2代目インプレッサだろう。2000年にフルモデルチェンジされた時は驚いた。丸型ヘッドランプを採用したからだ。
丸型が全部ダメとはいわないが、2代目インプレッサには妙な愛敬があった。2004年にダイハツから発売されたムーヴラテのようなカワイイ系で、当時のインプレッサには高性能なWRXも含まれたから、ミスマッチが著しかった。
しかも、水平対向エンジンの搭載で、フロントオーバーハング(ボディが前輪よりも前側へ張り出した部分)が長いから、丸型ヘッドランプではバランスが一層悪化した。
開発初期のデザインスケッチでは、2代目と同様の横長ヘッドランプも検討されたが、丸型を採用している。そして丸型のスケッチでは、実車よりもボディがワイドだ。ガッシリとした幅広い骨格の中に丸型ヘッドランプを納めてバランスを取っていたが、実車では顎が削がれ、期待した効果が得られなかった。
そこで2002年にはヘッドランプを丸型から横長の楕円形に変更して、ワイドな雰囲気に見せている。ただし、これも「涙目」と呼ばれ、精悍な顔立ちとはいえなかった。2005年には改めてヘッドランプの形状を変えて、左右の切れ上がった「鷹目」としている。
販売台数の推移を見ると、それぞれの変更を行った後で、売れ行きが急速に高まったことはない。1か月に1500~2500台を平均して売っている。改良は売れ行きの下降を抑えるのに効果を発揮したと考えられる。
また、インプレッサは特定のファンに購入される場合が多く、顔立ちが売れ行きに与える影響は概して小さい。それでも2代目は長期間にわたって人気を保ったから、マイナーチェンジとしては成功であったと言える。
■トヨタ SAI/2009-2017年
SAIは直列4気筒2.4Lエンジンをベースにしたハイブリッドセダンであった。レクサス HS250hと基本部分を共通化して、全高は1495mmだからセダンでは際立って背が高い。全長は4605mm、全幅は1770mmというミドルサイズながら、Lサイズセダンと同等かそれ以上の居住性を備えた。
ところが売れ行きは伸び悩んだ。全車にカーナビを標準装着したこともあって、価格が最も安い「S」でも338万円に達したからだ。装備やサービスの違いまで含めると、レクサス HS250h(標準仕様は395万円)のほうがむしろ割安に思えた。
しかもHS250hは、上手にチューニングされたショーワのショックアブソーバーを使うこともあり、乗り心地がSAIに比べて快適であった。
こうした事情もあって、SAIは2009年の発売時点では1か月の販売目標を3000台に設定しながら、2010年には1500~2000台に。2012年には500台前後まで販売台数が低下した。
そこで2013年にマイナーチェンジを実施し、ヘッドランプ周辺の形状を大きく変更した。全幅がワイドに見える顔立ちにしている。リヤビューも左右のテールランプが繋がった形状に改めた。
さらにSグレードのカーナビを非装着(ディーラーオプションを付ける設定)にして、価格を321万円に抑えた。
マイナーチェンジ後の1か月の販売目標は2000台と設定され、改良直後には1500台前後は売れた。2014年も1000台前後で推移している。一定の効果はあったといえるだろう。
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