インチアップのデメリット
どんなことにも良い面と悪い面の両面がある。そこでインチアップの弊害も見てみよう。
●燃費の悪化
インチアップによって大型化したホイールは標準よりも重くなり、ロープロ化によるタイヤの軽量化と合わせてもトータルでのタイヤ重量は増加する。これが燃費を悪くする原因となるのは容易に想像できるだろう。
また、タイヤのグリップ力向上は同時に転がり抵抗も増やすことになり、これも燃費の低下を引き起こしてしまうのだ。
●乗り心地が悪くなる
タイヤが扁平化するとそれまでに比べてサイドウォール(側面)が硬くなり、路面からのショックを吸収しにくくなる。つまり乗り心地は悪化してしまう。また、幅広タイヤになると走行中のロードノイズも増加する。
●コストの向上
標準タイヤに比べてロープロファイルタイヤは高価なことが多く、それは大径ホイールも同様。つまり、タイヤだけを同サイズのものに変えるより出費が大きくなってしまうのは避けられない。
インチアップの際の注意点
ここまでインチアップのメリットとデメリットを見てきたが、それらを考慮したうえでインチアップに踏みきりたいという人は、次にあげる点に注意してほしい。
●同じ外径のタイヤにする
インチアップを行う際に、標準と同じ外径のタイヤを選ぶのが鉄則。タイヤが大きくなると、その回転によって速度や距離を測るメーターの表示と実際の数値に違いが生じるという大きな問題が発生する。特にスピードメーターは実際の速度より低く表示されてしまうので要注意。
●ロードインデックスを合わせる
タイヤを変更する際に重要なのがロードインデックス(荷重指数)だ。これはタイヤが支えられる最大の負荷を示す数値であり、タイヤをインチアップする場合、元のタイヤよりロードインデックスが下がらないようにするのが鉄則。
例えばタイヤのサイズ表記が「165/55 R14 72 H」だった場合、「72」がそのタイヤの荷重指数となる。クルマのサイズによってタイヤに加わる荷重は変化するので、交換するタイヤの荷重指数が標準のそれを下回っていないかチェックすること。ちなみに先の表記では「55」が扁平率、「R14」がインチ数(サイズ)を表している。
●装着可能か事前に確認
インチアップによってタイヤの外径がわずかに変わったり、形状も元のタイヤと違っていたりするケースも多い。さらにタイヤの幅も異なる可能性があり、もしかすると現在のクルマに装着できないなんてことも……。このあたりはタイヤ購入の前にしっかりチェックしておきたい。
●最小回転半径をチェック
メーカー側でインチアップを行ったモデルは、標準タイヤ装着と最小回転半径が異なっている場合がある。これはタイヤ幅の増加によって、冬場にチェーンが装着できなくなったりしないようにするための措置だ。そこまで大きな変化ではないが、知っておいて損はない。
インチダウンのメリットとデメリット
インチアップとは違ってインチダウンを行うケースはあまり多くない。ただし、冬季に使用するスタッドレスタイヤが標準タイヤに比べてインチダウンになることは考えられる。この場合、インチダウンで起きる現象はインチアップの逆と考えてよい。
タイヤが柔らかくなって乗り心地が良くなるのがインチダウンのメリットだが、人によってはインチダウンにより見た目が悪くなったと感じるかもしれない。これがインチダウンのデメリットだ。
コメント
コメントの使い方薄いタイヤは低扁平タイヤだしインチアップしたら扁平率は低くなる
内径を大きくして安いタイヤを使わざるを得なくなるのであればノーマルサイズで上級のタイヤを装着した方が良いと感じてます
昔から「インチアップするときは1インチまでに留めとけ」と言われ続けたのは、これらデメリットをサスや車体側が吸収しきれなくなるからですね
非常に重要なのは「純正状態でどのホイールサイズを想定して作られている車か」です
最初から大きいホイールと薄いタイヤで煮詰められた車なら、そのサイズでのデメリットは当然考慮され消されています
問題となるのは、純正装着より大きくする場合。大抵はバランス崩れます