「最近のクルマはとにかくホイールがデカくなっている」こう感じている人は少なくないだろう。なんでホイールは巨大化したのか? そして標準タイヤを大径ホイール仕様に変える「インチアップ」を行うオーナーも多いという。ではインチアップすると何が変わるのか?
また、さらに冬場に頼もしい味方になってくれるスタッドレスタイヤとは、どういう状況で活躍し、ノーマルタイヤと何が違うのか? 今回はインチアップ&スタッドレスタイヤの基本を復習していきたい。
文/長谷川 敦、写真/写真AC、ダイハツ、トヨタ、日産、ピレリ、マツダ、ミシュラン、メルセデスベンツ
【画像ギャラリー】ホイールはデカけりゃいいってわけじゃない理由をもっと解説!!(14枚)画像ギャラリーインチアップっていったい何?
インチが長さの単位であることは読者の皆さんも知っているはず。現在はメートル法が世界の基準になっているが、アメリカのようにインチを主に使っている国も多く、自動車のパーツもインチ基準のままになっていることがある。つまり「インチアップ」とはあるものを大きくすることを意味している。
実は、クルマのタイヤで言うインチアップとは、タイヤ自体ではなくそれを支えるホイールを大きくすることを指す。タイヤの外径ではなく、ホイールのみを大きくするため、必然的にタイヤの厚み(扁平率)はそれ以前より減ることになる。これをタイヤのロープロファイル(ロープロ)化と呼ぶ。
なお、タイヤとホイールの外径はそのままでも、タイヤの幅が広くなれば扁平率はやはり変化する。しかし、今回はホイールを大きくするインチアップについて考えることにする。
インチアップのメリット
では、インチアップを行うと何が変わるのだろうか?
●タイヤ剛性の向上
ロープロ化によってタイヤの厚みが減ると、特に横方向の剛性が向上する。その結果、ハンドルを切った際のタイヤ変形が少なくなり、キビキビとした応答性が得られる。
●制動力のアップ
タイヤの厚みが減れば、横だけではなく縦方向の剛性が上がる。これはつまり、加速の際のタイヤの“ヨレ”が減少し、ブレーキング時にもタイヤが変形せずにしっかり止まれるようになるということ。また、ディスクブレーキ車の場合、ホイールサイズの拡大によって標準よりもブレーキディスクのサイズを大きくすることができ、ブレーキ性能が上がって制動力がアップする。
●グリップが高まる
タイヤの幅を変えずにインチアップを行い、空気圧も標準タイヤと同じに設定すると、形状の変化によってトレッド幅(=接地面積)が広くなる。これによって高速でカーブを曲がる際にタイヤの“踏ん張り”が利くようになり、走行安定性が高まる。
タイヤのインチアップを行う場合、標準よりもホイール幅が広くなるケースも多い、当然このことでも接地面積が広くなり、グリップ力が向上する。
●見た目がカッコいい
おそらくインチアップを行う人の理由の大半がコレ。ホイールが大きく扁平率の高いタイヤはいかにも速そうで、クルマのルックス向上に貢献してくれる。ただし、これは個人の好みもあるから、本当にカッコいいと思うかは人それぞれではある。
コメント
コメントの使い方薄いタイヤは低扁平タイヤだしインチアップしたら扁平率は低くなる
内径を大きくして安いタイヤを使わざるを得なくなるのであればノーマルサイズで上級のタイヤを装着した方が良いと感じてます
昔から「インチアップするときは1インチまでに留めとけ」と言われ続けたのは、これらデメリットをサスや車体側が吸収しきれなくなるからですね
非常に重要なのは「純正状態でどのホイールサイズを想定して作られている車か」です
最初から大きいホイールと薄いタイヤで煮詰められた車なら、そのサイズでのデメリットは当然考慮され消されています
問題となるのは、純正装着より大きくする場合。大抵はバランス崩れます