最近急増中 対向車のヘッドライトが眩しい原因はこれだった!!!

■クルマのヘッドライトの特性が原因になっているケースもある

新型ポルシェ911カレラ4SのLEDヘッドライト

 だが、最近は、対向車の車種の特性に原因があるケースも増えてきた。これはヘッドライトの配光特性が変化してきたことにある。プロジェクタータイプやマルチリフレクタータイプのヘッドライトになって、照らす部分とそうでない部分がクッキリと分かれるようになってきた。それはロービームの上限ギリギリまで強い光が配光されているということだ。

 従来のライト表面のカバーにあるレンズが配光特性を決める従来のヘッドライトでは、HIDのところで書いたように周囲に拡散する光が、自車の存在を知らせて安全につながる要素も大きかった。

 ところがプロジェクタータイプのライトでは、光源が放つ明かりを照らしている範囲に集中させることで、よりクッキリと明るく照らしているのだ。

 これの何が問題かというと、路面の起伏や勾配による車体の動きにより従来であればロービームの上限の弱い光がチラチラと揺れる程度で済んでいたものが、、ロービームのままでもハイビームと同じような配光になってしまう状況が起きているのだ。

■現在、導入が進んでいるアダプティブ・ヘッドランプ

※動画はマツダのアダプティブ・LED・ヘッドランプ

 ドライバーが求める夜間の視界と、対向車への幻惑防止を兼ね備える手段として、現在導入が進んでいるのがAHL(アダプティブ・ヘッドランプ)だ。

 これは自動ブレーキが前方の障害物をカメラやレーザーで認識するのと同様、カメラで先行車のテールランプや対向車のヘッドライトを認識してその明かりの方向だけLEDを消灯して複雑な配光を実現する。

 これによって先行車や対向車のドライバーを幻惑することなく、遠くまで照らし視界を確保してくれるのだ。このAHLは乗用車市場全体で見ると、採用している車種はまだまだ少ない。

 簡易型ともいえるAHS(オートマチック・ヘッドライト・システム)と呼ばれる、対向車などの有無によってライトのハイローを自動的に切り替えてくれる装備のほうが採用は進んでいるが、こちらは対向車がいると左側の視界まで照らす範囲を下げてしまう。

 AHLの導入以外では、国土交通省に道路の形状を改善してもらうよう働きかけるしか、対策方法はなさそうだ。

 少なくとも交差点の周囲では上り勾配から下り勾配へと変わるような起伏を避けるべきだろう。交差点の構造上、従来は割けられない問題でもあったが、クルマがこう進化している以上、道路も交差点を低く設定して上り勾配を避けるようにするべきだ。

■対向車のヘッドライトが眩しいと感じたらどう対処したらいいか?

 このように対向車のライトが眩しいと感じたら、どう対処したらいいのだろうか。眩しい光を放つ方向を見ないようにする、というのが最もカンタンで効果的な手段。

 うっかり見つめてしまうと、数秒間は視界が失われることになりかねない。それでも対向車の方向の安全確認をしない訳にはいかないから、まったく見ないという訳にはいかない。また安全確認をしていても、お互いのライトで間に挟まれた歩行者や自転車が、白飛びで見えなくなってしまう「蒸発現象」によって気付かない可能性もある。

 何かあったら、まずスピードを落とすこと。これを忘れているドライバーの何と多いことか。スピード感覚を養うことと、何か危険を感じたらまずスピードを落とすこと。これを実践するだけで、かなり市街地走行の安全は高まる。

 なお、前述の光軸の狂いや大光量ランプへ改造しているドライバーのなかには、「自分の交通事故を防ぐためには、周囲に少々迷惑をかけてもしかたない」と割り切っている人もいるかもしれない。

 しかしドライブレコーダーが普及しつつある現在、万一対向車のドライバーが交通事故を起こし、その原因の1つに自分のヘッドライトが眩しかったことが挙げられれば、交通事故の責任の一部を負わされる可能性も出てくる。

 1億総監視社会といわれる今、気付かずに周囲に迷惑を掛けているとすれば、いずれは報いを受けるかもしれないので気を付けよう。

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